羊と鋼の森ピアノ特集!
山崎賢人さん主演映画。役者さんたち、久石譲さん×辻井伸行さんのエンディングテーマと魅力いっぱいの映画ですが、映画で出てくるピアノクラシック曲もまた魅力的です。

今回は物語を振り返りながら、音楽もお楽しみ頂けたらと思います。

羊と鋼の森!映画の感想【役者編】はこちら
羊と鋼の森!久石譲×辻井伸行エンディングテーマの感想【音楽編】はこちら

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上白石姉妹の双子役の対比が面白い!

この物語に欠かせない登場人物にピアノを弾く双子の姉妹がいます。
この二人が顔はそっくりでも性格、ピアノは全く違う、
その性格の違いがそのままピアノに現れているというのがとても面白いのですが。

おとなしい姉と明るい妹。
本で読むよりもここの対比は映画で観ると、演技だけでなくピアノの音、曲があるのでよりハッキリわかりやすいです。

 

姉の静謐なピアノと妹の弾んだ色彩あふれるピアノ
その二人が弾いた曲は…

姉の和音 ラヴェル『水の戯れ』

映画では森の水辺の風景も出てきました。
この『水の戯れ』実は自然というより、噴水という意味からこの曲ができたと言われています。とはいえ、噴水そのものというよりは変化する水の様子を表現しようとしていたようで、水が緩やかだったり激しかったりと表情を変える水の様子が描かれています。
そして噴水という規則的な形式性を持ったものが、古典派の代表であるソナタ形式が原則として使われています。
この自由な現代曲の中にきっちり古典のソナタ形式を取り入れつつも、この鮮やかさ、またリストと並んで技巧を必要とする曲、憧れの素敵な曲ですね

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妹の由仁 ショパン『ショパンエチュードop25-9 蝶々』

映画で楽しそうに軽やかに弾く由仁の姿が印象に残っています。
和音の『水の戯れ』をしっとり弾いた後の、この選曲、対比がとても面白く感じました。
顔はそっくりだけれど、私たちは違うのだとそれぞれが得意なピアノで主張してるかのようにも感じられる場面でした。言葉は多くなくても、ピアノの音、曲で見事に表現された本にはない映画ならではの場面だったかと思います。
『ショパンエチュードop25-9蝶々』は可愛らしく女の子が好きそうな曲です。ショパンエチュードOp25には副題が4作ほどついてますが、この蝶々もそうで、なんともこの副題もいかにも!と言いますか(笑)

原作の本の中にもあるのですが
『ショパンのエチュードだったろ。じゅうぶんだよ。短いけど、あれ以上長い曲を弾かれたら時間的にきついぞ。』という調律師の柳の言葉があるのですね。
本を読んだときにショパンエチュードの短い曲ってどれかな…と考えるとしぼられてきますのでね。あっ!蝶々だったか!!というそんな楽しみも持ちつつ映画を鑑賞しました。

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この『蝶々』は1分ちょっとくらいの短い曲ですね。
曲の軽やかさと楽しそうに弾いてる様子で騙されそうになりますが(笑)、聴いた感じと弾いた感じの差を感じる曲かも知れませんね。ショパンエチュードという時点で難易度は高い曲ですが、見た目以上に難しい曲です。これを鮮やかに弾いてる様子がピアノを弾いてる方なら、相当上手だなというそんな様子も伝わる映画なのではと思いますね。もちろん、『水の戯れ』を弾いてる様子もですね。
そんな対比が私にはとても面白くって、静かな印象の映画な中この場面はとても楽しく観ていました。

双子の連弾『きらきら星』

この後に双子の二人で弾く連弾が好きです。ものすごく好きです!!(笑)
ちょっとテンションが一人あがってしまうくらいに(笑)
弾いていたのは『きらきら星』の連弾でした。モーツァルトの『キラキラ変奏曲』のように変奏になっており、テーマをもとに明るい華やかさやしっとりさなどコロコロ気分の変わるモーツァルトを思わせる曲でした。なぜ、キラキラ星の変奏曲って楽しいのでしょうね(笑)また聴きたくて見たくなる場面でした。

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ラヴェル『亡き王女のためのパヴァーヌ』

山崎賢人さん演じる主人公外村が実家の森で悩んでる様子。
その時に流れてきたのがラヴェル『亡き王女のためのパヴァーヌ』でした。映画を観た時にこの選曲にはうん??なぜこれなのかなと思ったのが正直なところでした。
これはもう勝手な自分の解釈に過ぎないですけれど(笑)、この曲の背景を感じますと納得していました。はい。勝手にですけれど(笑)
もともとこのタイトル『亡き王女』は亡くなった王女を表しておらず、昔小さな王女が踊った様子とも言われ、幼い頃の思い出、古き良きを感じる感傷的な曲であると思えば、自分の昔、思い出を振り返る、実家で過ごした日々などの回想は映画の場面と心情としては上手くあっているのかなぁと感じられたところです。またこの後に展開される城田優さん演じるジャズバーのピアニストの場面。急に変わった場面に私も気分が急展開した感じでした(笑)

 

ショパン『仔犬のワルツ』

また主人公外村が一人ある男性のもとへ調律に出かける場面。
行った先は引きこもりがちな男性のお宅で、ホコリのかぶった何年も弾かれていないピアノがあります。幼い頃にピアノを弾いていた時は両親もいて、飼い犬もいて。ところが両親が幼いときに亡くなりピアノも弾かないままでしたが、外村の調律でピアノがまた蘇ります。
男性もピアノに向かい、当時両親が喜んでくれた懐かしいピアノ曲を弾き出します。

それがショパン『仔犬のワルツ』でした。
最初は拙いたどたどしい仔犬のワルツ。
あの頃の楽しい懐かしい記憶とまた自分のピアノだけでない感覚を取り戻していき、次第に見事な仔犬のワルツに変わっていく様子がこの短い場面にギュッとドラマが詰まっていました。この仔犬のワルツだけでもドラマチックに感じました。仔犬が追いかけるクルクルしたじゃれあってる楽しい様子をもともとは描いた作品。そんな楽しかった記憶と共に、この男性が取り戻した様子がこの軽快なワルツとは裏腹にウルっときてしまった場面でありました。

和音のコンクール曲ソナタの重厚な演奏、結婚式での演奏は、有名曲メンデルスゾーン『結婚行進曲』このあたりももちろん良かったのですが、私がこの映画で面白いなと感じた場面を取りあげさせて頂きました。曲の解釈も含め映画を観るといろんなイメージがわいてより一層楽しめるのかなと思います。いろんな角度から楽しめるこの映画は本当におススメです!

お読み頂きありがとうございました

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