山口県は防府市民の心のよりどころ、防府天満宮。一年を通して県内外から多くの観光客が参拝に訪れます。
防府天満宮の歴史は古く、菅原道真公がなくなった翌年である延喜2年(904年)に道真公をお祀りするために創建された、日本最初の天神さまです。もう千年以上もこの防府市を鎮座する天神山から見下ろしています。その間、目まぐるしい街や人の移り変わりを天神さまはみてきたことでしょう。
今回はそんな歴史のある防府天満宮の境内を、ご案内していきます。

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鳥居と参道

駐車場から車を降りると、ずっしりとした大きな鳥居が出迎えてくれます。
この石大鳥居は1629年に初代藩主毛利秀就公が寄進したもので、奉納年が刻まれたものでは県下最古の鳥居と言われています。
鳥居から参道が一直線にのび、背後にそびえる天神山の緑に囲まれた天満宮の本殿が見えます。

参道沿いにはまちの駅「うめてらす」、カフェや名物天神餅やなどが慎ましやかに立ち並んでいます。
訪れたのはちょうどお盆。帰省客が多いのか、駐車場の場所を尋ねる人や写真を撮りつつ参道を歩く家族連れをたくさん見かけました。
日本最初の天神さまに県外から多くの人が訪れてくれるのは、市民として嬉しいことです。

わたしが好きなのは、まっすぐな参道の階段をのぼりながら、その場所によって頭上に見える楼門の見え方が変わっていくところです。
木々の枝に覆われた階段の向こうにちらっと見える天満宮の楼門の姿は、とても美しいと感じます。こうして私たちを広く見下ろしてくれているんだな、もうすぐその懐に行けるんだなと、ほっとするような何とも言えない気持ちになります。
階段の左右には、天神さまの歴史を感じられる史跡もありますが、まずは境内に行き、天神さまに参拝したいと思います。

本殿にて参拝

階段を登りきると、凛とした天満宮が姿を現します。

お正月や年中行事にはたくさんの人でごった返す境内も、今日は清々としています。
御手舎で手を清め、拝殿へ。

社殿は昭和27年に火災で焼失したのちに再建されたものです。
前に訪れたときはお祭で賑わっている中での参拝だったのですが、今回は心穏やかに参拝できました。
わが家は子どものお宮参り、七五三など家族の節目や年中行事ごとに、必ず天満宮を訪れています。防府市民の成長を温かく見守ってくれている天満宮です。

西門から出ると、たくさんの絵馬が飾られています。
ひとつひとつ見てみると、多くが志望校への合格祈願です。


これから受験シーズンにかけて、多くの受験生が学問の神さま・道真公のもとに合格祈願にやってきます。
合格へのたくさんの願いが天満宮には満ち満ちています。
ここ天満宮は市民の心のよりどころでもあり、道真公を祀っている神聖な場でもあり、受験生の願いを請け負う場でもあるのですね。

牛と天神さま

天神さまと言えば、撫で牛。階段脇にも置かれていますが、境内の本殿楼門の脇にもいらっしゃいます。
牛をなでてから願掛けするとそれが叶うと言われており、撫でる部位も鼻を撫でるとよいことがあるそうで、鼻だけがピカピカになっています・・・。
参拝の際は、ぜひ牛の鼻を撫でていかれてくださいね。

春風楼から防府市を一望

本殿のそばに、防府市を一望できる春風楼があります。
天満宮に来ると必ず春風楼に登って、風に吹かれながら千年の歴史の街を眺めます。

春風楼のとなりには、無料休憩所・紅梅殿があり、赤ちゃんの駅としても整備されています。こちらでは食事もできます。またここには、天満宮のお土産と学外では初の山口大学のグッズも置いてあります。

菅原道真公の愛した梅

御手舎の後ろ側には、しだれ梅林があります。
夏の季節の今は青々とした葉っぱがうっそうと茂っていますが、2月上旬には美しく梅が咲き誇り、毎年梅まつりが開催されています。

社務所の裏にもたくさんの梅が植えられており、こちらも紅白の梅が境内の空気を一面ピンク色に染めるかのように咲き誇ります。毎年、菅原道真公が愛した梅の花を見に、多くの人が訪れています。

芳松庵・幕末の歴史を感じる暁天楼とご神木

参道の階段を下りていきます。
左手にある芳松庵内は、夏は青々とした紅葉の葉と、涼しげに泳ぐ池の鯉が。秋には美しい紅葉が見られ、季節を感じられる庭園とお茶室です。

わたしはこの芳松庵の庭園が好きで、天満宮に来ると必ず立ち寄っています。
こちらは有料(500円)でお抹茶と干菓子をいただき、建物内を拝観することもできます。庭園を眺めながら、ゆっくりとした時間をお過ごしください。

庭園の一角に、幕末の志士たちの息吹を感じられる建物「暁天楼」があります。
ここは一見漬物小屋に見せかけていますが、幕末の志士たちが2階で密議を交わしたという場所です(2階は毎月25日のお茶会に併せて開放、悪天候の場合閉鎖)。暁天楼という名も、山形有朋が名付けたとのこと。

現在の建物は復元されたものですが、復元される前は刀傷や志士たちの書いた落書きが残されていたそうです!
天満宮と幕末の志士たちの関りなど想像したこともありませんでしたが、千年の間に様々な歴史上の人物がこの天満宮周辺を闊歩していたのですね。
ぜひ、訪れる多くの方に知ってほしい、そして幕末の長州の志士の息吹を感じてほしいスポットです。

そして暁天楼を奥まで入っていくと、天満宮のご神木が鎮座しています。千年の歴史の街を見守ってきたクスの巨木です。そのパワーが感じられます。

こちらの芳松庵と暁天楼、ご神木はぜひ立ち寄っていただきたい場所です。

防府天満宮
〒747-0029  防府市松崎町14-1  電話0835-23-7700

※アクセス
電車の場合・・・JR防府駅から徒歩15分
車の場合・・・広島方面→防府東インターチェンジより約10分
       福岡方面→防府西インターチェンジより約10分

※駐車場
駐車場は天満宮表側に2か所、社務所裏側、社務所裏から少し離れた場所に大きな広い駐車場があります(どれも駐車無料、500台駐車可)。大型バスも駐車できます。
階段をのぼるのが大変という方は、本殿に近いので裏側の駐車場を利用された方がよいかもしれません。

年中行事など詳細は、防府天満宮ホームページをご覧ください。

まとめ

はじめて防府天満宮を訪れた時は、建物の重厚さに目を見張りながらも、境内の温かな雰囲気に安心感を抱いたのを思い出します。
これまで気軽に訪れていて、ゆっくりと見て回ったことがあまりなかったので、今回より深く天満宮について知ることができたのは、防府市民としてとても嬉しいことでした。ご紹介できていませんが、他にも境内にある宝物殿や参道にある歴史的建造物・大専坊など見どころはたくさんあります。
ぜひじっくりとご覧になっていただき、道真公から幕末、現代にいたるまでの歴史を感じていただけると幸せます^^

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