医者と患者、患者の家族との関わりがリアルに描かれる『泣くな研修医』
交通事故で運ばれてきた重傷の少年、拓磨(たくま)。拓磨の父親山下武を演じるのは、声優やラッパーとしても活躍している木村昴(きむらすばる)さんです。

原作では主人公の隆治が拓磨を自分の兄と重ね合わせ、拓磨親子から自分の家族の在り方を考え、過去に向き合っていく姿が印象的でした。

今回は原作本から拓磨の父、山下武の人物像と名言、名シーンをご紹介していきますね。

~合わせてどうぞ~
・『泣くな研修医』原作のあらすじ、感想
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拓磨のお父さん、山下武はどんな人物?

運転していた車が正面衝突、自分だけ無傷だった父親

「親子3人で乗っていた車が高速道路で正面衝突」
事故を放じるテレビのニュースを見た外科医の佐藤先生が、「こりゃ死ぬね」と言い放ったような大事故でした。

その後すぐに、親子は隆治のいる病院に運ばれてきます。
ドライバーの父親は無傷、後部座席に乗っていた母親は鎖骨骨折。5歳の子どもは腹壁破裂で腸が飛び出すほどの重傷でした。

事故後、妻も息子も入院してしまい、ふたりともベッドから離れられない日々。それぞれ入院している科が違うので、妻と息子はいっさい会うことができないままになっています。

山下武は別々になってしまった妻と息子を見舞いながら、どうして自分が傷を負わなかったのか、家族はこれからどうなるのか、と葛藤する日々を送っています。

山下武の名言

「これからは毎日息子と妻のところへ通います」

(『泣くな研修医』幻冬舎文庫92ページより)

手術後、先輩外科医の佐藤から術後の経過を聞きながらも心配でたまらず、熱心に拓磨を見に来てくれる隆治に「お願いします!」と頭を下げる山下武。
妻は事故で骨折とむちうちがひどくてベッドから離れられず、子どもである拓磨のところに顔を出すことができません。

「あまり息子にはなつかれておらず・・・自分が看病してもきっと息子は喜ばないと思うんです・・・
自分では妻の代わりにはなれない。そう思いながらも、自分にできることをしようと「毎日息子と妻のところへ通う」と宣言する山下。
それから毎日欠かすことなく、息子と妻の見舞いに訪れています。

原作の中で隆治も、父親は仕事で忙しくしていてあまり息子の拓磨と一緒にいられなかったのだろうか、と考えていますが、きっと拓磨のことは妻に任せることが多かったのでしょう。
もしかしたら事故に遭った日も、ふだん一緒にいられない家族とのたまの外出だったのかもしれない。妻か息子にせがまれての外出だったのかも、なんて想像してして、読みながら胸がギュッとなってしまいました


思わぬ事故で別々になった今、家族を繋げるのは無傷の自分だけ。運転していた責任、傷を負って別々になった家族を支える責任。様々な思いをかかえながらも、できることは毎日通うことだけ。

何かしたくてもどかしくても顔を見ることくらいしかできないのは、研修医になりたての隆治とも同じなのではと感じるのです。

「なんで息子がこんな目に遭わなきゃならないんですか・・・なぜ俺じゃなく・・・」

(『泣くな研修医』幻冬舎文庫251ページ~252ページより)

原作後半、いつまで経っても腸がマヒしたままで食事がとれない拓磨

隆治と外科医の岩井が、このままでは危険な再手術をしなければならないかもしれないと状況説明をした際、山下は「なぜ息子はよくならないんですか。手術をミスしたのではありませんか」と詰め寄り、泣き崩れます。
なんで息子がこんな目に遭わなきゃならないんですか・・・なぜ俺じゃなく・・・」。

私も同じ子を持つ親ですが、もしも自分が運転していて子が傷を負ったらと思うと他人事とは思えず、涙が出そうになりました

目の前で苦しむ拓磨を見ていながら、何もできない父親。
拓磨はなぜよくならないのか、なぜ重傷を負ったのは自分じゃないのか。せめて痛みを代わってあげられたら。

長い入院期間の間、何度となく込み上げてきた想いでしょう。
ずっと、隆治を始め医師たちを信じて押しとどめてきた言葉。
危険を伴う再手術をしなければならないかもしれない、その説明に、これまで耐えていたものがふき出した瞬間でした。山下はこの後、外科医の岩井の言葉を聞いて、再び涙を流します。

このシーンは、もし自分が同じ立場だったら…と思うと胸が苦しくなってしまいます

まとめ

今回は原作『泣くな研修医』の中での、拓磨の父親である山下武の人物像、名言をお送りしました。
原作を読んだときには、個人的には息子の拓磨くんが気になって、父親の存在感が薄く感じていたのですが、ドラマでは子を想う父親の姿がドンとクローズアップされるようです。

「ときに隆治に食い下がったり突拍子もない行動をとったり、研修医たちを振り回す」(テレ朝POSTより)そうなので、原作よりももっと息子のために濃すぎる行動をとる父親の姿が見られるのではないでしょうか。楽しみですね。

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