愛嬌のある布袋様のお腹を触りに行ってみよう!!
気付くといつの間にか自然の中に入ってしまっているようなお寺。今回は北鎌倉駅にある「浄智寺」について触れてみようと思う。

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「鎌倉」の観光ガイドなどを見ていると、お寺の情報がたくさん書いてある。皆が知っている有名どころもたくさんあるが、「浄智寺」と聞いてピンと来る人はどのくらいいるだろうか。

鎌倉に何度か足を運んでいないと、なかなかピックアップし兼ねてしまい見過ごされてしてしまうかもしれない。
もちろん限られた旅の時間の中であれば、こちらのお寺でのんびり・・は、少し難しいかもしれないが、ここには一度見たら忘れられない愛嬌のある布袋様がいらっしゃる。


(https://kamakura-guide.jp/root-guide/rootguide-016 鎌倉タイム <巡礼>鎌倉七福神巡り より)

「ああ、あの布袋様がいらっしゃる所ね」という感じで、気持ちを軽く布袋様に会いに、そしてそのお腹を触りに行って見たらどうだろう。

またそのように布袋様を目指して境内に行ってみると、予想外にもとても雰囲気のある歴史深いお寺という事にも気付く。まだ知らない鎌倉の一面を見に、機会があれば少し立ち寄ってみてほしいお寺のひとつだ。

目次
・浄智寺について
 ・鎌倉五山とは
 ・臨済宗の開祖 栄西について
 ・甘露の井
・いただける御朱印と付随する仏様
・拝観案内 アクセス

・浄智寺について

北鎌倉駅から徒歩8分くらいの所にあるお寺。駅を出て、まっすぐ歩くとまずは東慶寺が見えてくる。
前回書いた東慶寺についてはこちら 東慶寺
通り過ぎてしばらくすると右手側に総門がみえてくる。パッと見るとそれほど大きそうに見えないのだが、案外奥行きがあるお寺だ。

こちらのお寺「浄智寺」は、鎌倉五山の第四位にあたる禅寺である。1281年に北条時頼の三男の宗政が亡くなった後にお弔いするため、宗政の子の師時たちが建てたそうだ。

当時の火災により伽藍は焼失したが、たくさん建物もあり、その中で今も現存する山門は見どころだ。
この山門の二階の窓は、火が燃えているような形の尖頭アーチ状の花頭窓(火灯窓)という窓の形で、唐様の鐘楼門となっている。このような鐘楼門は鎌倉市内では、ここにしかないそうだ。
そしてこの造りは中国から渡ってきた禅宋寺院が伝来してきたことも伺える。

島国の日本には異文化や新しい教えなどは、情報が流れてくるというよりも自ら取りに行ってきていた感じだろうか。
私たちはこうして教えを広げていただいたものにあやかっていると思うととても感謝で満たされる気持ちになる。

ちなみに「浄智寺」にも、山号がある。山号は仏教の寺院につける称号で、この寺の山号は「金宝山(きんぽうざん)」という。なんだか神々しい感じがしてしまうのは私だけだろうか。

・鎌倉五山とは

今回の「浄智寺」は鎌倉五山のうちのひとつなのだが、その「鎌倉五山」とはなにか。

「鎌倉五山」とは、神奈川県鎌倉市にある臨済宗の禅宗の寺格(お寺の格式とか階級)のことだ。浄智寺はその中の四番目の寺格だということになる。

鎌倉には百以上のお寺があり、それらが属する宗派の中で三分の一は「臨済宗」という宗派となっている。そのため寺格を定めることにより、統制を計ったということである。
そしてそれも鎌倉時代に禅宋を広めた栄西の影響である。

・臨済宗の開祖「栄西」

少し脱線するが、栄西について少し書いておこう。
栄西(えいさい)は、宋(そう)に渡って禅宗を学び、京都最古の禅寺「建仁寺」を開いた日本の臨済宗の開祖である。栄西は二度宋に渡った際に学んだ中国文化のお茶を飲む習慣も日本に広めている。中国から持ち帰った茶の実を日本に植えたそうだ。「喫茶養生記」というものも書いている。お茶好きの方ならぜひ一読しても良いのかもしれない。

・仏殿(浄智寺曇華殿)

仏殿には、阿弥陀、釈迦、弥勒の三如来の木造三世仏教坐像がある。これは室町時代のものらしい。
ここの弥勒菩薩が鎌倉十三仏で変成王に当たる。またそのお堂の背後に観音堂があり、観音様がいらっしゃる。南無観世音菩薩。
案内に沿ってやぐらの方に行ってみると、境内の奥に七福神の布袋様がいらっしゃる。みながお腹を撫でるのでお腹が黒光りしている!境内の奥は自然が多く、こちらは駅前だったことを忘れ、すっかり1つの空間が出来ている。

・甘露の井

鎌倉十井(かまくらじっせい)の1つ「甘露ノ井」がある。十井は、水質よく味もよく、伝説などが言い伝えなどが残る代表的な井戸のことをいう。今は飲み水ではないが、以前は井戸の水が蜜のように甘く、不老不死の効能があると言われていたそうだ。
場所は一番入り口の左側にある「甘露の井」と書かれている場所がそうだ。

・葛原ヶ岡・大仏ハイキングコース

浄智寺の隣は山につながっているように見えるが、北鎌倉の浄智寺から、長谷の高徳院の鎌倉大仏までのハイキングコースがある。
季節によってはアジサイなど、四季折々の植物に触れることもできる。
別のハイキングコースを行ってみたことがあるが、山自体も丘くらいなので高くないのでお時間の許す場合は自然の中でハイキングしながら鎌倉の地をめぐるのも楽しいだろう。

・いただける御朱印と付随する仏

ここは御朱印もたくさんいただける。
・鎌倉三十三観音三十一番札所(南無観世音菩薩)
・鎌倉二十四地蔵第十二番札所(南無地蔵尊)
・鎌倉十三佛第六番札所(弥勒菩薩)
・鎌倉江の島七福神(布袋様)

ちなみに私は以前、鎌倉三十三観音巡りでこの地に来た。現在は鎌倉十三沸巡りをしており、五番札所までいったので、ちょうど次に行くところがこの浄智寺となる。始めはいろんなお寺に行けると楽しんでいたが、御朱印をいただく際の仏様等についても知っておくと、よりお寺や御朱印についても深めることが出来、興味深い。

・拝観案内・アクセス

鎌倉市山ノ内1402 
金寶山 浄智寺(臨済宗円覚寺派)
JR横須賀線 北鎌倉駅から約8分

拝観時間
 9:00-16:30
拝観料、入館料
 大人(高校生以上)200円
 子ども100円

・おわりに 浄智寺にて禅寺を考える

禅(ぜん)とは、禅宗の略。禅宗自体は、開祖の達磨によって中国から伝えられたものだ。
禅宋は自力本願の考え。坐禅によって自ら悟りを開くことを重んじている。常に戦いに身を置いていた武士にとっては、自ら心を統一できる行いとして皆取り入れていたのだろう。

私も、「禅」とはよく聞くものの、とてもとても漠然としていて、それを語ることは出来ない。が、ふんわりとしたイメージの中には、決して難しくもなく簡単でもない。答えもあるようでないような、曖昧な印象を受ける。ただ、こだわるだけこだわって、こだわりがなくなるような、行ったり来たりの感覚。

とにかく曖昧な雰囲気の中に真があるような気がしているのが今の自分の考えだったりする。
お寺を巡り、そのような答えの出ないことをぼーっと考えてみたりすることは案外楽しいものだ。

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