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おささるはどこの方言?意味と北海道・青森での使い方、標準語を解説

「おささるって、どこの方言?」「押されるとは意味が違うの?」と、聞き慣れない表現に戸惑ったことはありませんか。

「おささる」は、北海道や青森などで使われる方言で、ボタンなどを押すつもりがなかったのに、何かの拍子に押してしまった場面で使われます。

標準語の「押す」や「押される」だけでは表しにくい、「わざとではない」「自然にそうなった」というニュアンスを含んでいるのが特徴です。

この記事では、「おささる」の意味や使われる地域、北海道と青森での使い方を、日常会話の例文とともにわかりやすく解説します。

「おささった」「おささってる」「おささんない」の違いや、「書かさる」などの似た表現も知ることで、方言ならではの感覚がすっきり理解できるでしょう。

この記事でわかること

  • 「おささる」の意味と標準語での言い換え
  • 北海道・青森など「おささる」が使われる地域
  • 「おささった」「おささってる」「おささんない」の使い分け
  • 「~さる」の仕組みと「書かさる」などの関連表現

「おささる」は北海道・青森などで使われる「意図せず押してしまう」という方言

「おささる」は、北海道や青森などで使われる方言で、「押すつもりはなかったのに、押してしまう」という意味です。

標準語に置き換えるなら、「押してしまった」や「誤って押した」と表すと伝わりやすいでしょう。

自分から意識して押す「押す」とは異なり、手や物が触れた結果として、ボタンなどが押されたときに使われます。

「おささる」の基本的な意味

「おささる」は、漢字を当てるときには「押ささる」と表記されることがありますが、会話ではひらがなで目にすることも多い言葉です。

基本的には、何かに触れたり力が加わったりして、結果として押した状態になることを表します。

たとえば、手がボタンに触れて作動した場合、「手が当たって、おささった」のように言えます。

この言い方では、話し手が積極的にボタンを押したというよりも、手が触れたことで結果的に押した状態になったことが中心になります。

そのため、「押した」という動作だけでなく、そこに至った状況まで短く伝えられるのが特徴です。

表現 表している内容
押す 自分の意思で力を加える動作
おささる 触れたことなどにより、結果として押した状態になること
押される 人や物から押す力を受けること

「おささる」と「押される」は音が少し似ていますが、意味は同じではありません。

「背中を押される」のような「押される」は、誰かや何かから力を受ける受け身の表現です。

一方の「おささる」は、意図していないのに、結果として押した状態になることを表します。

方言に慣れていない人が聞くと「押される」の言い間違いのように感じることもありますが、地域の日常会話では意味のある一つの表現として使われています。

標準語では「押してしまった」「誤って押した」と表す

「おささる」を標準語に直す場合は、前後の状況に合わせて表現を選ぶと自然です。

もっとも近いのは「押してしまった」ですが、操作の間違いをはっきり示したい場合は「誤って押した」と言い換えられます。

方言を含む言い方 自然な標準語
手が当たって、おささった 手が当たって、押してしまった
違うところがおささった 違うところを誤って押した
荷物が触れておささった 荷物が触れて、ボタンが押されてしまった

会話では「うっかり押した」や「触れた拍子に押してしまった」と言い換えても、状況がわかりやすくなります。

ただし、単に「押した」とだけ訳すと、自分の意思で操作したように受け取られる場合があります。

意図しない動作だったことまで伝えたいときは、「しまった」「誤って」「うっかり」などを添えるのがポイントです。

つまり「おささる」は、標準語の一語だけでは表しにくい状況を、「押す」という動作とともに簡潔に伝えられる方言です。

「おささる」には「わざとではない」というニュアンスがある

「おささる」には、自分から押そうとしたのではなく、何かの拍子に押した状態になったというニュアンスがあります。

単に動作を表すだけでなく、「わざとではない」「避けにくかった」という感覚まで自然に伝えられる言葉です。

そのため、手や荷物が偶然触れた場面、操作するつもりのないボタンが反応した場面などで、状況を簡潔に説明できます。

「押される」と「おささる」の違い

「押される」と「おささる」は音が似ていますが、動作の捉え方が異なります。

標準語の「押される」は、基本的に人や物から力を受けることを表す受け身の言い方です。

たとえば「人混みで後ろから押される」という場合は、自分以外の誰かから力を加えられています。

一方、「おささる」は誰かに押してもらったことではなく、自分の手や持ち物などが触れ、意図しないまま押した結果になったことを表します。

表現 中心となる意味 伝わりやすい状況
押す 自分の意思で力を加える 必要なボタンを選んで操作する
押される 人や物から力を受ける 後ろの人に背中を押される
おささる 意図せず押した結果になる 手や荷物が触れて反応する

たとえば、バッグを持ち替えたときに中の機器が反応した場合、「ボタンが押される」では、何によって押されたのかに意識が向きやすくなります。

「ボタンがおささる」と言うと、偶然の接触によって操作されたことに加え、自分が進んで押したわけではないという感覚も含められます。

「誰かに押された」のではなく、「意図しないのに押した状態になった」という点が、大きな違いです。

「押してしまう」より不可抗力の感覚を表しやすい

「おささる」に近い標準語として「押してしまう」がありますが、両者の印象は完全に同じではありません。

「押してしまう」は、うっかりした操作や判断の間違いなど、自分の行動を振り返る場面でも使われます。

そのため、文脈によっては「気をつければ避けられた」という印象を伴うことがあります。

これに対して「おささる」は、手が滑った、物が触れた、持ち方を変えた拍子に反応したといった、本人の意思だけでは避けにくい成り行きを表しやすい言葉です。

  • 押すつもりはなかった。

  • 偶然の接触や周囲の状況がきっかけだった。

  • 気づいたときには押した状態になっていた。

このような要素が重なる場面では、「押してしまった」よりも「おささった」のほうが、話し手の感覚に合うことがあります。

ただし、「おささる」を使えば、自分にはまったく関係がないという意味になるわけではありません。

あくまで、意図的な操作ではなかったことをやわらかく示す表現と考えるとわかりやすいでしょう。

「押した」では意思的に聞これ、「押してしまった」では失敗を振り返る印象があり、「おささる」では自然な成り行きや不可抗力の感覚が前に出ます。

こうした細かな気持ちまで短い言葉で表せることが、「おささる」の特徴です。

北海道だけでなく青森や東北北部でも使われている

「おささる」は北海道の方言としてよく知られていますが、青森県や岩手県など、東北北部でも使われることがある言葉です。

そのため、「北海道だけの方言」と限定するより、北海道を中心に、青森をはじめとする東北の一部にも分布する表現と捉えるとよいでしょう。

ただし、同じ道県内でも地域や世代、家庭環境によって、使う頻度やなじみの深さには差があります。

地域 「おささる」の位置づけ
北海道 日常会話で広く聞かれる方言
青森県 県内各地で聞かれる一方、地域や世代による差もある表現
岩手県など 東北北部を中心に使われることがある表現

北海道での日常的な使われ方

北海道では、「おささる」は特別に古い言葉というより、日常の中で自然に使われる方言の一つです。

家庭での会話はもちろん、友人同士や職場などでも耳にすることがあります。

話し手が方言を使っているつもりはなく、道外の人に通じなかったときに、初めて北海道特有の表現だと気づく場合もあります。

特に身近な機器や設備を操作する場面と相性がよいため、年代を問わず会話に現れやすい言葉です。

一方で、北海道出身者なら誰もが同じ頻度で使うとは限りません。

暮らしている地域や家族の言葉遣い、道外での生活経験などによって、普段から使う人もいれば、意味はわかっても自分ではあまり使わない人もいます。

北海道で広く通じやすいものの、使い方には個人差があるという点も押さえておきましょう。

青森県内でも津軽・南部・下北など地域や世代で差がある

青森県でも「おささる」は使われており、北海道以外でこの言葉が聞かれる代表的な地域の一つです。

ただし、青森県内の言葉は一様ではなく、津軽・南部・下北などの地域によって語彙や発音、なじみのある表現が異なります。

そのため、ある地域ではごく自然に聞こえても、別の地域ではほかの言い方が選ばれることがあります。

地域差に加えて、世代による違いもあります。

家庭や地域の会話で方言に触れる機会が多い人は自然に使う一方、標準語に触れる機会が多い人は、知っていても日常的には使わないことがあります。

また、同じ市町村の出身者同士でも、家族が使っていたかどうかによって言葉へのなじみ方が変わります。

「青森では必ず使う」「特定の地域では使わない」とはっきり線を引くのではなく、県内に広く知られながら、地域・世代・家庭ごとに差があると考えるのが自然です。

岩手など東北のほかの地域でも見られる

「おささる」は、青森県に隣接する岩手県など、東北のほかの地域でも見られます。

とくに東北北部では、「おささる」と同じような形を持つ言葉が会話に取り入れられており、北海道と共通する方言表現として紹介されることがあります。

北海道と東北は人の行き来が長く続いてきたため、似た表現が両地域に分布していることも珍しくありません。

ただし、東北地方の全域で同じように使われているわけではなく、地域によって通じやすさには幅があります。

岩手県内でも、暮らす地域や話し手の年代によって、自然に使う人、意味だけわかる人、あまり耳にしない人に分かれます。

道外の人との会話で確実に伝えたいときは、相手の反応を見ながら標準語に言い換えると、行き違いを避けやすいでしょう。

「おささる」は北海道を代表する方言でありながら、北海道だけに閉じた言葉ではなく、青森や岩手を含む東北北部とのつながりを感じられる表現です。

北海道と青森で基本的な意味は共通している

北海道と青森で使われる「おささる」は、どちらも自分から押そうとしたのではなく、何かの拍子に押す動作が起きたことを表す方言です。

地域が違っても意味に大きな差はなく、標準語では「押してしまう」「押されてしまう」など、状況に合わせて言い換えられます。

北海道と青森で会話するときも、基本的には同じ意味の言葉として通じると考えてよいでしょう。

地域 基本的な意味 言葉の特徴
北海道

意図していないのに押す動作が起きることを表します。

日常会話になじんでいる人にとっては、標準語へ置き換えにくい自然な表現です。

青森

北海道と同じく、何かの拍子に押してしまうことを表します。

地域の話し方や会話の相手によって、耳にする頻度が変わります。

たとえば、北海道出身の人と青森出身の人が「いつの間にかボタンがおささっていた」と話した場合、想定する状況はおおむね共通しています。

一方で、方言になじみのない人には「押される」と同じ受け身の表現に聞こえることがあります。

しかし「おささる」は、誰かに押されたことだけを示す言葉ではなく、意図とは関係なく押す動作が成立したことに重点があります。

地域によって発音や使用頻度に違いがある

意味が共通していても、北海道と青森でまったく同じ響きになるとは限りません。

話すときの抑揚、音の高低、会話の速さなどには、それぞれの地域で親しまれている話し方が表れます。

同じ「おささる」という表記でも、ゆっくり一音ずつ聞こえる場合もあれば、日常会話の中で音がつながり、短く聞こえる場合もあります。

これは言葉の意味が違うためではなく、地域ごとの発音や話し方の違いによるものです。

使用頻度についても一様ではありません。

  • 家庭や親しい人との会話では自然に使うものの、仕事では標準語に言い換える人がいます。

  • 年配の人との会話でよく耳にする一方、同世代同士ではあまり使わない場合があります。

  • 自分では使わなくても、周囲が使うため意味は理解できる人もいます。

そのため、北海道と青森のどちらで聞いた場合も、発音の細かな違いだけで別の意味だと判断する必要はありません。

前後の会話を踏まえれば、何かが押された、または押してしまった状況を表していることがわかります。

同じ地域でも使わない人がいる

「おささる」が知られている地域に住んでいても、すべての人が日常的に使うわけではありません。

方言の使い方は、出身地だけでなく、家庭内の言葉、学校や職場の環境、普段会話する相手などにも左右されます。

テレビやインターネットなどを通して標準語に触れる時間が長い人は、「おささる」の意味を知っていても、自分では「押しちゃった」などと言うことがあります。

また、場面に応じて方言と標準語を自然に切り替えている人も少なくありません。

家族や地元の友人には「おささる」を使い、地域外の人には「間違って押してしまった」と伝えるなど、相手に合わせて言葉を選びます。

使うかどうかは出身地を判断する決め手にはならず、個人の言葉の習慣として捉えることが大切です。

北海道と青森では基本的な意味が共有されていますが、発音や使用頻度には地域差と個人差があります。

聞き慣れない響きであっても、まずは同じ意味の方言として受け取り、必要に応じて標準語で確認すると会話がスムーズです。

「おささった」「おささってる」「おささんない」の意味と使い分け

「おささった」は意図せず押してしまったとき、「おささってる」は押された状態が続いているときに使います。

一方、「おささんない」は、押そうとしても押せない、または押しても反応しない状態を表す言い方です。

過去の出来事・続いている状態・押せない状態のどれを伝えたいかで使い分けると、意味を捉えやすくなります。

表現 意味 標準語での言い換え
おささった 意図せず押してしまった 押しちゃった、間違って押してしまった
おささってる 押された状態が続いている 押されたままになっている
おささんない 押せない、押しても反応しない 押せない、うまく反応しない

「おささった」は意図せず押してしまった状態

「おささった」は、何かを押すつもりがなかったのに、手や体が触れて結果として押してしまった場面で使われます。

「押した」という動作だけでなく、自分の意思とは別に押されてしまったという感覚を含むのが特徴です。

たとえば、かばんの中で機器のボタンに物が触れたときは、「かばんの中でボタンがおささった」と表現できます。

会話では「ごめん、おささった」のように、短く使われることもあります。

この場合は、「わざと押したのではなく、うっかり押してしまった」という意味として受け取れます。

標準語に直すなら、場面に応じて「押しちゃった」「間違って押してしまった」「触れて押されてしまった」などが自然です。

「おささってる」は押された状態が続いている表現

「おささってる」は「おささっている」を会話の中で縮めた形で、何かが押されたままになっている状態を表します。

一度押されたという出来事よりも、現在もその状態が続いていることに焦点があります。

たとえば、物がボタンの上に載っている場面では、「そこ、ずっとおささってるよ」と言えます。

この言葉を聞いたときは、すでに押す動作が終わったと考えるのではなく、今も圧力がかかっている可能性を考えると意味がわかりやすくなります。

標準語では、「押されたままになっている」「ずっと押されている」「何かが当たっている」などと言い換えられます。

なお、話し方によっては「おささっている」と省略せずに言うこともありますが、基本的な意味は同じです。

「おささんない」は押しても反応しない・押せないという表現

「おささんない」は、押そうとしているのにうまく押せない、または押しても期待した反応がないときに使われます。

地域や話し手によっては、「おささらない」が会話の中で変化した言い方として用いられます。

たとえば、ボタンが固くて動かないときの「このボタン、おささんない」は、「このボタンは押せない」という意味です。

実際には指で押せていても機器が反応しない場合に、「何回やってもおささんない」と表現することもあります。

「押さない」という禁止や意思の表現ではない点には注意が必要です。

「今日はそのボタンを押さない」であれば自分の意思を表しますが、「このボタンがおささんない」であれば、押せない状態を表しています。

意味に迷ったときは、主語と前後の状況を確認すると区別しやすくなります。

  • すでに意図せず押してしまったなら「おささった」を使います。

  • 押された状態が今も続いているなら「おささってる」を使います。

  • 押そうとしても押せない、または反応しないなら「おささんない」を使います。

形がよく似ているため、言葉だけを覚えるよりも、いつの状態を表しているかに注目すると使い分けやすくなります。

ボタンやリモコンを誤って押した場面で自然に使える

「おささる」は、スマートフォンやリモコンなどのボタンに、指や物が偶然触れた場面で自然に使えます。

予定していない操作が起きた状況を短く伝えられるため、家族や友人との日常会話で便利な表現です。

相手に迷惑をかけたときは、「ごめんね」などの言葉を添えると、より丁寧でやわらかな伝え方になります。

スマートフォンや機械のボタンで使う例文

スマートフォンでは、持ち方を変えたときやバッグに入れている間に、画面へ触れてしまうことがあります。

このような場合に、「画面がおささった」「通話ボタンがおささった」と表現できます。

場面 「おささる」を使った例文 標準語での言い換え
スマートフォン

バッグの中で通話ボタンがおささって、電話がかかっていた。

バッグの中で通話ボタンが押されて、電話がかかっていた。

タッチパネル

画面を持ち直したら、違うところがおささった。

画面を持ち直したら、違うところを押してしまった。

券売機

戻るボタンがおささって、最初の画面に戻った。

戻るボタンを誤って押して、最初の画面に戻った。

家電の操作部分

隣のボタンがおささって、設定が変わったみたい。

隣のボタンを押してしまって、設定が変わったようだ。

タッチパネルでも、画面上のボタンを押す操作であれば「おささる」を使えます。

ただし、自分でボタンを選んだものの選択肢を間違えた場合は、「間違えて押した」と言うほうが状況に合うこともあります。

指や持ち物が偶然触れたのか、自分で選んで押したのかを考えると、使い分けやすいでしょう。

リモコンや呼び出しボタンで使う会話例

リモコンは、ソファに置いたまま座ったり、手に持って立ち上がったりした際に、ボタンが押されることがあります。

その場で起きたことを説明するときは、次のように使えます。

場面 会話例
テレビのリモコン

家族「急にチャンネルが変わったね」。

自分「ごめん、リモコンがおささったみたい」。

飲食店の呼び出しボタン

同行者「まだ注文が決まっていないけれど、ボタン押した?」。

自分「バッグを置いたら、おささったみたい」。

エレベーターのボタン

家族「違う階のボタンも光っているよ」。

自分「荷物が当たって、おささったんだね」。

会話では「私が押した」ではなく、「リモコンがおささった」「荷物が当たっておささった」のように、ボタンや物を主語にする言い方もよくなじみます。

何が触れたのかを添えると、聞き手も状況を思い浮かべやすくなります。

自分の意図ではなかったことをやわらかく伝える使い方

「おささった」は、予定外の操作だったことを会話の流れの中でやわらかく伝えたいときに便利です。

ただし、この言葉だけでは、相手に謝る気持ちまで十分に伝わらない場合があります。

相手の操作を中断させたり、店員を呼んでしまったりしたときは、次のようにひと言添えると安心です。

  • ごめんね、手が当たってボタンがおささったみたい。

  • すみません、荷物を置いたら呼び出しボタンがおささってしまいました。

  • リモコンがおささって、音が大きくなっちゃったね、ごめんね。

親しい相手には「おささったみたい」と簡潔に伝え、店員などには標準語を交えて「ボタンが押されてしまいました」と伝えると通じやすくなります。

状況の説明と気遣いの言葉を組み合わせることが、自然で感じのよい使い方です。

「~さる」は自然な成り行きや可能を表す方言表現

「おささる」の「~さる」は、動作が本人の強い意志によるものではなく、自然な成り行きで実現したことを表す方言の形です。

また、周囲の状況や道具の状態によって「その動作ができる」という、可能の意味で使われることもあります。

意図せずそうなったのか、条件が整っていてできるのかは、前後の文脈から判断します。

「押す」に「さる」が付いて「おささる」になる仕組み

「おささる」は、動詞の「押す」をもとにして作られています。

言葉の形としては、「押す」の語幹が「押さ」という形になり、そこへ方言の「さる」が続いて「押ささる」となったものです。

部分 役割
押さ 「押す」という動作を示す部分
さる 動作が自然に実現することや、実現できることを添える部分
押ささる 押す動作が自然に起こる、または条件次第で押すことができることを表す形

標準語の「押される」と見た目は似ていますが、単純な受け身だけを表す言葉ではありません。

「誰かによって押される」というよりも、何らかのきっかけや条件によって、押す動作が成立するという感覚を含みます。

ただし、方言は地域や世代によって使い方や捉え方が少し異なるため、文法的な区切りを強く意識せず、一つの自然な言い回しとして使っている人も少なくありません。

「自然にそうなった」という意味が生まれる理由

「~さる」が付くと、動作をした人の意志よりも、動作が結果として起きたことに焦点が移ります。

そのため「自分から押そうとした」という意味合いが弱まり、「触れた拍子に押す動作が成立した」という自然な成り行きを表しやすくなります。

標準語では、状況に合わせて「押してしまった」「押された」「手が当たって反応した」などと言い分けるところを、「おささる」で感覚的にまとめられるのが特徴です。

  • 「押す」は、動作をする人の意志や行動に焦点があります。

  • 「おささる」は、周囲の事情によって動作が起きた結果に焦点があります。

たとえば「手が触れておささる」という表現では、押すつもりだったかどうかよりも、手が触れたことでボタンが反応したという流れが中心になります。

このように、人の意志を前面に出さず、物や状況の側から出来事を捉えるところに「~さる」らしさがあります。

文脈によって「~できる」という可能の意味にもなる

「~さる」は、予定外の動作だけでなく、条件が整っているため、その動作が可能であるという意味でも使われます。

たとえば「このボタンなら軽い力でもおささる」は、「このボタンなら軽い力でも押せる」という意味です。

「手袋をしていてもおささる」であれば、「手袋をした状態でも押すことができる」と解釈できます。

例文 標準語に近い意味 判断の手がかり
触れたらおささる 触れた拍子に押される 偶然のきっかけが示されている
軽い力でもおささる 軽い力でも押せる 押すための条件が示されている
手袋をしていてもおささる 手袋をしていても押せる 可能かどうかを表している

同じ「おささる」でも、偶然の出来事を説明しているのか、操作できるかどうかを話しているのかによって、標準語への置き換え方は変わります。

前後にある「触れたら」「軽い力でも」「この状態なら」といった言葉を見ると、どちらの意味なのかを判断しやすくなります。

「書かさる」「食べらさる」「飲まさる」も同じ仕組みで使われる

「おささる」と同じように、北海道や東北北部では「書かさる」「食べらさる」「飲まさる」といった表現も使われます。

いずれも、本人の強い意志より、道具や食べ物、その場の雰囲気によって自然と動作が進む感覚を伝える言葉です。

ただし、標準語へ置き換えるときは、動詞や場面に合わせて「書ける」「つい食べてしまう」「自然とお酒が進む」などと言い換える必要があります。

「書かさる」は自然と書ける・書いてしまうという意味

「書かさる」は、ペンなどが使いやすくて自然に書ける場合や、意図していなかったことまで書いてしまった場合に使われます。

たとえば「このペン、すらすら書かさる」は、標準語では「このペンはすらすら書ける」「このペンは書きやすい」という意味です。

道具の使いやすさによって筆が進むため、自分が頑張って書いているというより、自然と書けるという感覚が含まれます。

一方、「話しているうちに、余計なことまで書かさった」であれば、「話しているうちに、余計なことまで書いてしまった」という意味になります。

方言の例 標準語に近い表現 伝わる感覚
このペンは書かさる このペンは書きやすい 道具がよく、自然に書ける
すらすら書かさった すらすら書けた 無理なく筆が進んだ
余計なことまで書かさった 余計なことまで書いてしまった 予定していない内容まで書いた

このように「書かさる」は、前後の内容によって「書ける」にも「書いてしまう」にも近くなります。

「食べらさる」「飲まさる」はつい口が進む感覚を表す

「食べらさる」は、料理がおいしかったり食べやすかったりして、自然と食が進む場面で使われます。

「このおかず、ご飯が食べらさる」は、「このおかずがあると、ご飯がどんどん食べられる」「ついご飯が進む」という意味です。

単に食べることが可能だと述べるだけでなく、食べ物の味や組み合わせによって、思わず食べ続けてしまうという気持ちが表れています。

「飲まさる」も似ており、「この料理があると飲まさる」と言えば、「この料理があると自然と飲み物やお酒が進む」という意味になります。

楽しい会話やくつろいだ雰囲気を理由に、「話が弾んで飲まさった」と表現することもあります。

  • 「食べらさる」は、「食べやすい」「つい食べてしまう」「食が進む」などに言い換えられます。

  • 「飲まさる」は、「飲みやすい」「つい飲んでしまう」「自然と飲み物が進む」などに言い換えられます。

  • 食べ物や飲み物だけでなく、一緒にいる人やその場の雰囲気がきっかけになる場合もあります。

標準語では一語にまとめにくいため、「つい」や「自然と」を添えると、方言ならではの感覚を伝えやすくなります。

動詞によって意味や自然さが変わる点に注意する

「~さる」を付けた表現は、すべての動詞で同じように使われるわけではありません。

日常的によく使われる言い方もあれば、地域や家庭、世代によってはあまり耳にしない言い方もあります。

また、同じ言葉でも、道具の使いやすさを表すのか、意図せず行動したことを表すのかは文脈によって変わります。

表現 中心となる意味 自然な標準語訳
書かさる 道具や状況のおかげで筆が進む 書きやすい、自然に書ける
食べらさる 味や組み合わせによって食が進む つい食べてしまう、食が進む
飲まさる 味や雰囲気によって飲む量が進む つい飲んでしまう、自然と飲み物が進む

なお、「飲まさる」は、方言を使わない人には「誰かに飲ませる」という表現に近く聞こえることがあります。

誤解を避けたい場面では、「この料理だと自然と飲み物が進む」のように、状況を補って伝えると親切です。

方言の形をそのまま一語ずつ訳すのではなく、話し手が感じている自然な流れまで含めて言い換えることが、「書かさる」「食べらさる」「飲まさる」を理解するポイントです。

まとめ

この記事のポイントをまとめます。

  • 「おささる」は、意図せず押してしまうことを表す方言
  • 標準語では「押してしまった」「誤って押した」などと言い換えられる
  • 「わざとではない」「自然にそうなった」というニュアンスを含む
  • 北海道を中心に、青森や岩手など東北北部でも使われている
  • 北海道と青森で基本的な意味に大きな違いはない
  • 「おささった」は過去、「おささってる」は継続中の状態を表す
  • 「おささんない」は、押せない、または押しても反応しない状態を表す
  • 「~さる」は、自然な成り行きや、その動作ができることを表す方言表現
  • 「書かさる」「食べらさる」「飲まさる」なども同じ仕組みで使われる

「おささる」は、単に「押す」という動作だけでなく、自分の意思とは関係なく押す結果になったことまで、ひと言で伝えられる便利な方言です。

スマートフォンやリモコンのボタンにうっかり触れたときなど、日常のさまざまな場面で自然に使われています。

北海道だけの言葉と思われがちですが、青森をはじめとする東北北部でも耳にすることがあり、地域や世代によって使われ方に違いが見られます。

方言になじみがない方へ伝えるときは、「誤って押した」「押してしまった」と状況に合わせて言い換えると安心です。

耳にしたときは前後の会話にも注目し、その土地ならではのやわらかな表現を楽しんでみてくださいね。

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