長野県の方言には、「ずく」「なから」のようによく使う言葉や、「しょうしい」「ぬくとい」といったかわいい響きの長野弁があります。「〜ずら」「〜だに」などの語尾も気になりますよね^^ 北信・東信・中信・南信の言葉100選を、意味・使う場面・短い例文で紹介します。
長野県でよく使う方言|まず知りたい20の意味と例文
「こわいご飯」は怖いご飯ではなく、硬いご飯。「くれる」が「あげる」になることもあり、聞き慣れた単語ほど意味の違いに驚きます。
1. ずく(ずくなし)
意味:物事に取りかかる気力や、手間を惜しまず動く気持ち。「ずくなし」は面倒がって動かない人。
使う場面:片付けや作業にひと頑張りするとき。
例文:ずく出して、物置の奥まで片付けるか。→ 気合いを入れて、物置の奥まで片付けようか。
2. ごしたい(ごしてえ)
意味:疲れた、体がだるい。
使う場面:一日動き回って、ひと息つきたいとき。
例文:坂道をずっと歩いたら、ごしたくなった。→ 坂道をずっと歩いたら、疲れてきた。
3. なから
意味:だいたい、ほぼ。中信・南信などで使われる。
使う場面:作業の進み具合や、おおよその程度を伝えるとき。
例文:荷造りはなから済んだで、あと靴だけ。→ 荷造りはだいたい済んだから、あとは靴だけ。
4. こわい
意味:食べ物などが硬い。怖がっているという意味とは別。
使う場面:炊き上がったご飯や、噛みにくい物の硬さを話すとき。
例文:今日のご飯、いつもよりこわいね。→ 今日のご飯、いつもより硬いね。
5. しみる(凍みる)
意味:厳しく冷え込む、凍る。
使う場面:冬の朝の寒さや、水・地面が凍った様子を伝えるとき。
例文:夕べはしみて、バケツの水に氷が張った。→ 夕べは冷え込んで、バケツの水に氷が張った。
6. ぶちゃる(びちゃる・べちゃる)
意味:捨てる。地域によって音が変わる。
使う場面:不要になった物を処分するとき。
例文:その箱はぶちゃらないで、荷物を送るのに使うよ。→ その箱は捨てないで、荷物を送るのに使うよ。
7. くれる
意味:自分から相手にあげる、与える。
使う場面:物を分けたり、植物に水をやったりするとき。
例文:この苗、二つあるから一つくれるよ。→ この苗、二つあるから一つあげるよ。
8. かう(鍵をかう)
意味:鍵をかける、ボタンを留める。
使う場面:外出前に戸締まりを確かめるとき。
例文:裏口の鍵もかってから出かけてね。→ 裏口の鍵もかけてから出かけてね。
9. ぼける
意味:リンゴなどの果肉の締まりがなくなり、食感が落ちる。
使う場面:保存していた果物の状態を話すとき。
例文:このリンゴ、少しぼけたから煮て食べよう。→ このリンゴ、少し食感が悪くなったから煮て食べよう。
10. かんます
意味:かき混ぜる。北信・東信などで使われる。
使う場面:汁物や飲み物を混ぜるとき。
例文:底に砂糖が残らないように、よくかんまして。→ 底に砂糖が残らないように、よくかき混ぜて。
11. はかいく
意味:仕事や作業がはかどる。
使う場面:予定より手早く進んだとき。
例文:二人でやると、草取りもはかいくね。→ 二人でやると、草取りもはかどるね。
12. こずむ
意味:液体の中の物が底に沈む、沈殿する。中信などの言い方。
使う場面:粉の入った飲み物を混ぜ直すとき。
例文:きな粉がこずんでるから、飲む前に混ぜて。→ きな粉が底に沈んでいるから、飲む前に混ぜて。
13. なるい
意味:厳しさや締まりが足りない、緩い。中信などで使われる。
使う場面:規則や判定、作業の厳しさを比べるとき。
例文:今日の判定は、いつもよりなるいね。→ 今日の判定は、いつもより甘いね。
14. まえで
意味:前、前の方。
使う場面:物の置き場所や待ち合わせ場所を伝えるとき。
例文:公民館のまえでに自転車を置いたよ。→ 公民館の前に自転車を置いたよ。
15. かしがる
意味:傾く、斜めになる。
使う場面:家具や荷物の傾きに気づいたとき。
例文:荷台の箱がかしがってるから、直しておこう。→ 荷台の箱が傾いているから、直しておこう。
16. とぶ
意味:走る、駆ける。
使う場面:急いで移動した様子を話すとき。
例文:雨が降ってきたで、駐車場までとんだよ。→ 雨が降ってきたから、駐車場まで走ったよ。
17. おどける
意味:驚く、びっくりする。おもしろい振る舞いをする意味とは別。
使う場面:突然の出来事に驚いたとき。
例文:玄関を開けたら猫が飛び出して、おどけた。→ 玄関を開けたら猫が飛び出して、びっくりした。
18. うつかる(うっつかる)
意味:寄りかかる、もたれる。中信などで使われる。
使う場面:体を壁や柱に預けるとき。
例文:塗りたてだから、その壁にうつからないで。→ 塗りたてだから、その壁に寄りかからないで。
19. のっくむ
意味:飲む、飲み込む。北信・東信などの言い方。
使う場面:食べ物を飲み込む動作を話すとき。
例文:口の中の物をのっくんでから話してね。→ 口の中の物を飲み込んでから話してね。
20. 行き会う
意味:人に会う。白馬などでは、顔を合わせて言葉を交わす意味でも使う。
使う場面:知り合いに会って話したことを伝えるとき。
例文:郵便局で田中さんに行き会って、畑の話をしたよ。→ 郵便局で田中さんに会って、畑の話をしたよ。
かわいい長野弁|柔らかな響きや気持ちを表す言葉
照れる気持ちを表す「しょうしい」や、温かさを伝える「ぬくとい」。意味そのものが「かわいい」という言葉だけでなく、会話の中で柔らかく聞こえる表現を集めました。
21. わにる
意味:はにかむ、人見知りする。特に幼児について使われる。
使う場面:初対面の人を前に、子どもが照れているとき。
例文:久しぶりに会ったら、わにて顔を隠しちゃった。→ 久しぶりに会ったら、人見知りして顔を隠してしまった。
22. しょうしい(しょーしー)
意味:恥ずかしい。東信などに伝わる言い方。
使う場面:褒められたり、人前で話したりして照れるとき。
例文:みんなの前で褒められると、しょうしいな。→ みんなの前で褒められると、恥ずかしいな。
23. ぬくとい(のくとい)
意味:温かい。中信・南信などで聞かれる。
使う場面:布団や日だまりの心地よい温かさを話すとき。
例文:日に干した布団は、ぬくとくて気持ちいい。→ 日に干した布団は、温かくて気持ちいい。
24. やっこい
意味:柔らかい。
使う場面:食べ物や布などの柔らかさを伝えるとき。
例文:この手ぬぐい、洗ったらやっこくなったね。→ この手ぬぐい、洗ったら柔らかくなったね。
25. あんき
意味:安心、気楽なこと。北信・南信などで使われる。
使う場面:心配事がなくなり、ほっとしたとき。
例文:無事に着いたと聞いて、あんきになった。→ 無事に着いたと聞いて、安心した。
26. ぼこ(こんぼこ)
意味:赤ちゃん、幼い子ども。
使う場面:赤ちゃんの様子を話すとき。
例文:隣のぼこ、もう一人で歩けるようになったんだね。→ 隣の赤ちゃん、もう一人で歩けるようになったんだね。
27. おつくべ(おつんべ)
意味:正座。北信・中信などの言い方。
使う場面:畳の上での座り方を話すとき。
例文:久しぶりにおつくべしたら、足がしびれたよ。→ 久しぶりに正座したら、足がしびれたよ。
28. くねっぽい
意味:年齢より大人びている、ませている。
使う場面:子どものしぐさや話し方の変化に気づいたとき。
例文:去年より、ずいぶんくねっぽくなったね。→ 去年より、ずいぶん大人っぽくなったね。
29. あまもっくら
意味:ほんのりとした甘さ。須坂などの言い方。
使う場面:強すぎない甘みを味わうとき。
例文:このお粥、あまもっくらしておいしいね。→ このお粥、ほんのり甘くておいしいね。
30. きのず
意味:のんびり、ゆっくり。須坂などでは「きのぅづに」という形もある。
使う場面:急がずに過ごしたいとき。
例文:明日は休みだし、きのずにしていこう。→ 明日は休みだし、のんびりしていこう。
長野弁の語尾|「しない?」「ずら」「だに」の意味と例文
北信の「寄るしない?」はお誘い、松本などの「〜だじ」は「〜だよ」。告白なら「好きだに」のように気持ちを添える言い方もあります。地域ごとの使い方を見ていきましょう。
31. 〜しない?
意味:〜しようよ、〜しませんか。北信で知られる誘い方。
使う場面:友人に予定を提案するとき。
例文:帰りに、あのパン屋へ寄るしない?→ 帰りに、あのパン屋へ寄っていかない?
32. 〜ず(行かず・やらず)
意味:〜しよう、〜しましょう。北信・東信などの勧誘の形。
使う場面:相手と一緒に行動を始めるとき。
例文:混む前に、みんなで昼飯を食わず。→ 混む前に、みんなで昼ご飯を食べよう。
33. 〜ずら(〜ら)
意味:〜だろう、〜でしょう。中信・南信、佐久などで使う推量・確認の形。
使う場面:相手の見通しを尋ねたり、予想したりするとき。「です」の万能な言い換えではない。
例文:この時間なら、まだ店は開いてるずら?→ この時間なら、まだ店は開いているでしょう?
34. 〜だら
意味:〜だろう、〜でしょう。伊那・飯田などで聞かれる。
使う場面:相手も知っていそうなことを確かめるとき。
例文:この道を行けば、駅に出るだら?→ この道を行けば、駅に出るでしょう?
35. 〜だに
意味:〜だよ。南信などで、相手に知らせる気持ちを添える。
使う場面:新しく分かったことや、自分の気持ちを伝えるとき。
例文:あの席、まだ空いてるに。→ あの席、まだ空いているよ。
36. 〜だじ(〜じ)
意味:〜だよ。松本などで、知らせたり念を押したりする語尾。
使う場面:集合場所や決まりを相手に伝えるとき。
例文:集合は表の入口だじ。→ 集合は表の入口だよ。
37. 〜だ
意味:〜のだ、〜んだ。「行っただ」のように動詞の後にも付く。
使う場面:諏訪などで、事情を説明したり質問したりするとき。
例文:昨日は兄ちゃんと釣りに行っただ。→ 昨日はお兄ちゃんと釣りに行ったんだ。
38. 〜で(だで)
意味:〜から、〜ので。
使う場面:中信・南信などで、理由と次の行動をつなぐとき。
例文:日が暮れるで、先に帰ってて。→ 日が暮れるから、先に帰っていて。
39. 〜もんで(だもんで)
意味:〜ものだから、〜なので。
使う場面:諏訪などで、そうなった事情を説明するとき。
例文:道が混んだもんで、一本遅い電車になったよ。→ 道が混んだものだから、一本遅い電車になったよ。
40. 〜かや
意味:〜かな、〜だろうか。
使う場面:北信・中信などで、控えめに尋ねたり迷ったりするとき。
例文:隣に座ってもいいかや?→ 隣に座ってもいいかな?
長野県の挨拶|ありがとう・ただいま・さようなら
帰ってきて「いってきました」、食べ終わって「いただきました」。日々の挨拶にも、信州らしい言い方があります。
41. あばな(あばね)
意味:さようなら、またね。中信などの親しい別れの挨拶。
使う場面:友人や家族と別れるとき。
例文:あばな、来週また顔を見に来るね。→ またね、来週また顔を見に来るね。
42. いただきました
意味:ごちそうさまでした。中信・南信などの食後の挨拶。
使う場面:食事を終えてお礼を伝えるとき。
例文:いただきました。お汁もおかわりしちゃった。→ ごちそうさまでした。お汁もおかわりしてしまった。
43. いってきました
意味:ただいま。飯田・下伊那などの帰宅の挨拶。
使う場面:用事を終えて家に戻ったとき。
例文:いってきました。頼まれた牛乳、買ってきたよ。→ ただいま。頼まれた牛乳、買ってきたよ。
44. おいでなんしょ(おいでなして)
意味:いらっしゃい、おいでください。地域により形が異なる。
使う場面:家や集まりに人を迎えるとき。
例文:今度はご家族で、おいでなんしょ。→ 今度はご家族で、いらしてください。
45. おつかいです(おつかいでございます)
意味:こんばんは。中信・南信に伝わる夜の訪問の挨拶。
使う場面:夕方以降、近所の家などを訪ねるとき。
例文:おつかいです。回覧板を持ってきました。→ こんばんは。回覧板を持ってきました。
46. おかたじけ(おかたしけ)
意味:ありがとう。伊那などに伝わるお礼の言葉。
使う場面:手助けや心遣いへの感謝を伝えるとき。
例文:荷物まで運んでもらって、おかたじけ。→ 荷物まで運んでもらって、ありがとう。
47. およりて
意味:寄ってください、来てください。南信の松川町などで使われる。
使う場面:知り合いを自宅などに誘うとき。
例文:帰りにうちへおよりて。野菜を分けるで。→ 帰りにうちへ寄ってください。野菜を分けるから。
48. ごめんなして
意味:失礼します。須坂などに伝わる挨拶。
使う場面:訪問や入室の際に声をかけるとき。
例文:ごめんなして。山田さんはいらっしゃいますか。→ 失礼します。山田さんはいらっしゃいますか。
49. はーるかぶり
意味:久しぶり、長い間会わなかったこと。諏訪などで使われる。
使う場面:しばらく会っていなかった相手に話しかけるとき。
例文:はーるかぶりだね。いつ戻ってきたの?→ 久しぶりだね。いつ戻ってきたの?
50. かんな(かにな)
意味:ごめんね、許してね。飯田・下伊那などの言い方。
使う場面:親しい相手に謝るとき。
例文:先に食べちゃって、かんな。→ 先に食べてしまって、ごめんね。
北信の方言|長野市・須坂・小川村などの言葉
長野市周辺や須坂、小川村などの言葉です。昔の暮らしに結び付く表現も含め、北信のどこででも同じように使うという意味ではありません。
51. へら
意味:舌。北信に限らず諏訪などでも使われる。
使う場面:口の中や舌の状態を話すとき。
例文:飴をなめたら、へらが青くなった。→ 飴をなめたら、舌が青くなった。
52. ごったく
意味:物が散らかっていること。北信の昔からの生活語。
使う場面:部屋や物置の散らかり具合を話すとき。
例文:押し入れがごったくで、座布団が出せないよ。→ 押し入れが散らかっていて、座布団が出せないよ。
53. ごわす(ごあす)
意味:ございます。須坂・小川村などにも記録がある古い丁寧表現。
使う場面:昔の挨拶や年配者の言葉を読み聞きするとき。
例文:おはようごわす。今朝は早いですね。→ おはようございます。今朝は早いですね。
54. かねちょろ
意味:トカゲの仲間を指す呼び名。須坂などで使われる。
使う場面:庭や石垣で小さな爬虫類を見つけたとき。
例文:石の間に、かねちょろが隠れたよ。→ 石の間に、トカゲが隠れたよ。
55. きんな
意味:昨日。北信・東信などで使われる。
使う場面:一日前の出来事を話すとき。
例文:きんな借りた傘、玄関に置いておくね。→ 昨日借りた傘、玄関に置いておくね。
56. おってな(おってーな)
意味:一昨日。小川村などに伝わる言い方。
使う場面:二日前の予定や出来事を振り返るとき。
例文:おってな植えた苗に、新しい葉が出た。→ 一昨日植えた苗に、新しい葉が出た。
57. あくと
意味:かかと。須坂などの言い方。
使う場面:靴の履き心地や足のことを話すとき。
例文:新しい靴が、あくとに当たるんだ。→ 新しい靴が、かかとに当たるんだ。
58. くじな
意味:タンポポ。須坂・小川村などに伝わる呼び名。
使う場面:野の花を見つけたり、昔の呼び方を話したりするとき。
例文:土手のくじなが、もう綿毛になった。→ 土手のタンポポが、もう綿毛になった。
59. かがっぽい
意味:まぶしい。須坂などの言い方。
使う場面:強い日差しや照り返しを感じるとき。
例文:雪に日が当たって、かがっぽいね。→ 雪に日が当たって、まぶしいね。
60. もうらしい
意味:かわいそう、気の毒。
使う場面:誰かの残念な状況を気遣うとき。
例文:楽しみにしていた遠足が中止で、もうらしいね。→ 楽しみにしていた遠足が中止で、かわいそうだね。
61. なっちょ
意味:どう、どんなふうに。北信などで使われる。
使う場面:相手の調子や物事の様子を尋ねるとき。
例文:新しい仕事はなっちょだい?→ 新しい仕事はどうだい?
62. せう
意味:言う。北信などに伝わる言い方。
使う場面:人から聞いた話を伝えるとき。
例文:父ちゃんが、もう出かけるってせってたよ。→ お父ちゃんが、もう出かけるって言っていたよ。
63. きばな
意味:木の枝などに付く細かな氷、樹氷や霧氷。北信・東筑摩などに記録がある。
使う場面:冬の木々の白い景色を話すとき。
例文:山の木にきばなが付いて、真っ白だね。→ 山の木に霧氷が付いて、真っ白だね。
64. てづくな
意味:手遊び、手先でものをいじること。小川村などの古い言い方。
使う場面:話を聞きながら手元の物を触っているとき。
例文:話の途中で、紙を折っててづくなしていた。→ 話の途中で、紙を折って手遊びしていた。
65. せっこうがいい
意味:よく働く、仕事ぶりがまめ。小川村などに伝わる。
使う場面:手際よく働く人を褒めるとき。
例文:朝のうちに全部済ませるなんて、せっこうがいいね。→ 朝のうちに全部済ませるなんて、よく働くね。
東信の方言|佐久に伝わる言葉
佐久に伝わる言葉を中心に紹介します。同じ東信でも上田などとは言い方が違うことがあり、「ぞぜえる」のように地域で意味が変わる語もあります。
66. おやげねえ
意味:かわいそう、気の毒だ。佐久などで使われる。
使う場面:相手の苦労や不運を思いやるとき。
例文:一人だけ迎えが来なくて、おやげねえな。→ 一人だけ迎えが来なくて、かわいそうだな。
67. かくねる
意味:隠れる。佐久のほか、中信などにもある言い方。
使う場面:物陰に隠れた人や動物を話題にするとき。
例文:子猫がカーテンの後ろにかくねてる。→ 子猫がカーテンの後ろに隠れている。
68. おっこねる
意味:壊れる。佐久に伝わる言い方。
使う場面:道具などが壊れてしまったとき。
例文:古い椅子がおっこねて、座れなくなった。→ 古い椅子が壊れて、座れなくなった。
69. しゃっかめる
意味:つかまえる。佐久などの言い方。
使う場面:逃げそうな虫などを捕まえるとき。
例文:窓の蛾をしゃっかめて、外へ逃がした。→ 窓の蛾をつかまえて、外へ逃がした。
70. おつよ
意味:味噌汁。佐久などに伝わる食卓の言葉。
使う場面:食事の用意やおかわりのとき。
例文:今朝のおつよには、畑の大根を入れたよ。→ 今朝の味噌汁には、畑の大根を入れたよ。
71. きびしょ
意味:急須。佐久のほか、北信・中信などにも伝わる。
使う場面:お茶を入れる道具を出すとき。
例文:棚のきびしょを洗って、お茶にしよう。→ 棚の急須を洗って、お茶にしよう。
72. げそおねえ
意味:無駄な、意味のない。佐久に伝わる言い方。
使う場面:しても役に立たないことを話すとき。
例文:同じ紙を何枚も印刷して、げそおねえな。→ 同じ紙を何枚も印刷して、無駄だな。
73. ぞぜえる
意味:ふざける。佐久の用法。北信などでは甘える意味の記録もある。
使う場面:悪ふざけで物事が進まないとき。
例文:ぞぜえてばかりで、写真が一枚も撮れないよ。→ ふざけてばかりで、写真が一枚も撮れないよ。
74. あのけんまく
意味:あんなにたくさん。佐久などの言い方。
使う場面:目の前の量の多さに驚いたとき。
例文:あのけんまくの薪、一人で運んだの?→ あんなにたくさんの薪、一人で運んだの?
75. いかさま
意味:まったく、本当に。佐久では感心や呆れを強める意味がある。
使う場面:予想以上だったことを強く言うとき。
例文:いかさま、今日は風が強えな。→ 本当に、今日は風が強いな。
中信の方言|松本などの面白い表現と暮らしの言葉
松本などで聞かれる言い回しを中心に、信州の暮らしの中で使われてきた表現を紹介します。
76. かてる
意味:仲間に入れる、加える。松本などの言い方。
使う場面:遊びや集まりに参加するとき。
例文:次の試合から、私もかててね。→ 次の試合から、私も仲間に入れてね。
77. あんまてんこ
意味:肩車。松本などに伝わる呼び名。
使う場面:小さい子を肩に乗せるとき。
例文:あんまてんこしてもらったら、お祭りがよく見えた。→ 肩車してもらったら、お祭りがよく見えた。
78. うめる
意味:熱い湯に水を足して、温度を下げる。
使う場面:風呂の湯などが熱すぎるとき。
例文:子どもが入る前に、少し風呂をうめておこう。→ 子どもが入る前に、少し風呂に水を足しておこう。
79. おぞい
意味:古くて傷んでいる、質がよくない。松本などで使われる。
使う場面:長く使った物の状態を話すとき。
例文:この鞄はおぞくなったけど、まだ使えるよ。→ この鞄は古く傷んだけれど、まだ使えるよ。
80. おんじょ(おんじょう)
意味:わがまま、駄々、文句。中信・南信などの言い方。
使う場面:子どもがぐずったり、不満を言ったりするとき。
例文:眠くなると、おんじょをこくんだね。→ 眠くなると、駄々をこねるんだね。
81. つもい
意味:窮屈、サイズがきつい。松本などで使われる。
使う場面:服や履き物が体に合わないとき。
例文:去年の長靴は、もうつもくなった。→ 去年の長靴は、もうきつくなった。
82. しゃっちょこばる
意味:緊張して堅くなる、かしこまる。
使う場面:普段と違ってぎこちなくなっているとき。
例文:初めての挨拶で、しゃっちょこばっちゃった。→ 初めての挨拶で、緊張して堅くなってしまった。
83. ささらほうさら
意味:めちゃくちゃ、ひどく乱れた状態。中信・南信などで使われる。
使う場面:物事が混乱したり、周りが散らかったりしたとき。
例文:風で紙が飛んで、机の上がささらほうさらだ。→ 風で紙が飛んで、机の上がめちゃくちゃだ。
84. かんちょ
意味:チョッキ、ベスト。信州に伝わる昔の衣類の呼び名。
使う場面:年配者の話や、古い衣類の呼び方を知るとき。
例文:ばあちゃんが編んだかんちょ、まだしまってあるよ。→ おばあちゃんが編んだベスト、まだしまってあるよ。
85. あるを尽くす
意味:並んでいる料理などを残さず食べ切る。長野県内の宴席で使われる言い回し。
使う場面:食事会を締める前に、残った料理を勧めるとき。
例文:そろそろお開きだから、あるを尽くしましょう。→ そろそろお開きだから、残った料理を食べ切りましょう。
南信の方言|諏訪・伊那・飯田・下伊那の言葉
諏訪・伊那から飯田・下伊那まで、南信の中にも違いがあります。「半殺し」は諏訪などに伝わる食べ物の言葉、「みやましい」は松川町などで使う褒め言葉です。
86. まてえ(まてい)
意味:丁寧、手抜かりがない。南信などで使われる。
使う場面:作業の仕上がりを褒めるとき。
例文:包み方がまてえで、開けるのがもったいないね。→ 包み方が丁寧で、開けるのがもったいないね。
87. みやましい
意味:仕事がよくできる、器用で手際がよい。松川町などの言い方。
使う場面:作業をそつなくこなす人に感心するとき。
例文:棚まで自分で作るなんて、みやましいね。→ 棚まで自分で作るなんて、器用だね。
88. くむ
意味:交換する、取り替える。松川町などで使われる。
使う場面:品物を別の物と交換するとき。
例文:大きさが合わないから、一つ小さいのとくんでこよう。→ 大きさが合わないから、一つ小さいのと交換してこよう。
89. ねやねや
意味:人が多く、混み合っている様子。飯田・下伊那などで使われる。
使う場面:祭りや店の混雑を話すとき。
例文:朝市はねやねやで、友達を見失った。→ 朝市は人で混み合っていて、友達を見失った。
90. ひる
意味:乾く。松川町などの用法。
使う場面:干している物の乾き具合を確かめるとき。
例文:厚い靴下だけ、まだひってないね。→ 厚い靴下だけ、まだ乾いていないね。
91. うら
意味:後ろ、後方。飯田・下伊那などで使われる。
使う場面:家や車の後方を指すとき。
例文:荷物は車のうらに積んであるよ。→ 荷物は車の後ろに積んであるよ。
92. まるたで
意味:丸ごと、そのまま全部。松川町などの言い方。
使う場面:切り分けずに扱う物を話すとき。
例文:かぼちゃをまるたでもらったから、半分あげるね。→ かぼちゃを丸ごともらったから、半分あげるね。
93. よた
意味:悪いこと、いたずら。松川町などでは「よたっこ」と人を指す形もある。
使う場面:子どものいたずらをたしなめるとき。
例文:よたして、弟の帽子を隠したんだって。→ いたずらして、弟の帽子を隠したんだって。
94. ごうがわく
意味:腹が立つ。中信・南信などで使われる。
使う場面:嫌な出来事への怒りを話すとき。
例文:約束を何度も忘れられて、ごうがわいたよ。→ 約束を何度も忘れられて、腹が立ったよ。
95. あんじゃねえ(あんじゃない)
意味:心配ない、大丈夫。飯田・下伊那などで使われる。
使う場面:心配する相手を安心させるとき。
例文:時間はまだあるで、あんじゃねえよ。→ 時間はまだあるから、大丈夫だよ。
96. おかしま
意味:正座。飯田・下伊那などの言い方。
使う場面:座敷での座り方を話すとき。
例文:座布団を敷いて、おかしまになった。→ 座布団を敷いて、正座した。
97. えらい
意味:体がつらい、疲れる。飯田・下伊那などの用法。
使う場面:体を動かして疲れたとき。
例文:この荷物を三階まで運ぶのは、えらいな。→ この荷物を三階まで運ぶのは、つらいな。
98. だだくさもねえ
意味:やたらに多い、必要以上にたくさん。南信などの言い方。
使う場面:物の量が多すぎると感じたとき。
例文:お菓子をだだくさもねえ買って、棚に入らないよ。→ お菓子をやたらにたくさん買って、棚に入らないよ。
99. ごもしんだで
意味:お願いだから、どうか。松川町などに伝わる言い方。
使う場面:相手に強く頼みたいとき。
例文:ごもしんだで、出発の時間だけは守ってね。→ お願いだから、出発の時間だけは守ってね。
100. 半殺し(はんごろし)
意味:米粒を少し残してつぶしたおはぎ・ぼた餅、またはそのつぶし方。諏訪などに記録がある。
使う場面:餅やおはぎを作る話の中で使う。人への危害を指しているわけではない。
例文:今日は半殺しにして、きな粉をまぶそう。→ 今日は米粒を少し残してつぶして、きな粉をまぶそう。
まとめ
知っている言葉や、思っていた意味と違う方言はありましたか? 「ずく」のひと言に込められた気持ちや、食後の「いただきました」など、長野弁には味わいのある表現が多いですね^^ 同じ県内でも、北信から南信まで言い方が変わるのが面白いところです。