野村克也の本「楽天イーグルス」失敗は成長。選手への信頼を学ぶ。

尊敬する人物・好きな人物 濃縮書籍レビュー 野村克也

(『野村克也氏著書『あ~ぁ、楽天イーグルス』角川書店)

【野村克也氏著書・「あ~ぁ、楽天イーグルス」レビュー】

プロ野球は今年もセ・パ交流戦の季節になりました。6月1日は、交流戦で楽天VSヤクルトがあり、2対5でヤクルトが勝利しました。あっ!と思いました。どちらのチームにもノムさんが監督時代に強くなったなと。今日はそのチームが強くなったときの秘密にせまる話になります。

「セ・リーグかパ・リーグどちらが強いか?」――40代後半の私が小学生のころよく話題になり、何となく「実力はパ・リーグだろう」とかいうことになったり、それの逆の答えとして「人気はセ・リーグ」みたいな感じでした。毎日テレビではナイターが放送されており、いつも巨人戦。私はカープファンだったので、カープは巨人戦のときはテレビで見ることができました。

私がノムさんを最初に注目したのは実はずいぶん後期で、ヤクルトの監督になってみるみるうちにヤクルトを強くしたときでした。やはりノムさんの現役時代は、パ・リーグはテレビに映らなかったから知れなかったんですよね。残念。。今は交流戦もあり野球ファンには楽しみが増えましたね。

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そういう昭和のころの思い出をいっぱいもつ私、月見草パパが今日もノムさんの本「あ~ぁ、楽天イーグルス」の面白かった所を書かせていただきます。今日は2回目です。いつも読んでいただき、ありがとうございます^^。

レビュー第1回はこちら

●少しずつ根付き始めた無形の力

 前回までで見たように、ノムさんが監督となって楽天には多くの選手が育ちました。その実感を5章「選手と戦い続けた四年間」の冒頭でノムさんはこう話します。「私が監督になってからこれだけの選手たちが育ったことを見ても、『ノムラの考え』は、この四年間でチームに着実に浸透したと思う。だが、それは選手たちとの日々の戦いのなかで一進一退を繰り返しながら、少しずつ築かれていったものであった」。こうしてチーム打率と防御率はほとんど変わらないままで最下位を脱出していく。そこには野村監督が大事に考えて育ててきた「無形の力」が根を張りつつあったことを示します。
そして、野球以外でも生かせるような名言がまた出てきます。「監督就任以来、私が口を酸っぱくして選手に言い続けてきたのは、『準備の重要さ』だった」。ヤクルトでも阪神でもそうだったが、楽天はとりわけそれをうるさく言ったと。なぜならば「野球は成功する確率の高い作戦を選択するスポーツ」だからだとノムさんは力説します。バッターなら狙い球をもって打席に入る。守備ならどこでアウトをとるか考えて守る。その時の根拠にデータがいるという話です。

(『野村克也氏著書『あ~ぁ、楽天イーグルス』角川書店)

カバーの裏には、本の読みどころが示されています。楽天の成長を間近で見るような流れです。

●本当に重要なデータとはただの統計ではない

ここで面白いと思ったのは、楽天のスコアラーたちも膨大なデータやビデオを作成していたらしいのですがただ集めただけで、ノムさん曰く「本は読まない、字も書けないような選手たちの処理能力を超えていた」というのです。

そして野村節がでます。「詳細なデータを集めることはもちろん大切である。が、それは第一歩であり、本当に重要なのは、そのなかから必要なものを、どれだけ具体的かつ簡潔にわかりやすく選手に提供できるか、なのだ」。そして楽天のスコアラーにいった。「“統計”は必要ない。ほしいのは、状況ごとのバッテリーの配給パターンやバッターの特徴だ」と。

ノムさんの野球にたいしてデータだけからものを考えるようなイメージをもつ人もいるようですし、まあそう見えるんでしょうけど、ここは非常に大事なことを書かれていると思いました。準備として知る必要があるのは、結局はパターンや特徴だったのです。バッターなら「このバッターは大ファールを打ったあとどうバッティングするか」「空振りしたあとどうバッティングするか」、ピッチャーなら「同じ球を三球投げないのが普通だがこのピッチャーにもそれが言えるか」。

私は30年近く会社員をしていますが、ここまで人の特徴をつかんで仕事に向かっていたかな?いつも何の準備もなく「直観」と「ひらめき」でなんとかしようとしてなんともなっていなかったかも、、と自分にとって大きい収穫がありました。

(『野村克也氏著書『あ~ぁ、楽天イーグルス』角川書店)

あぁ、監督  あぁ、阪神タイガース  巨人軍論  ひたすら野球が好きなんだなあと伝わる。もう監督の姿は見られないかもしれないが、解説者としては元気にボヤいていらっしゃいます^^

● よい結果はよいプロセスから生まれる

5章では、ノムさんの有名な言葉がでてきます。「失敗と書いてせいちょう(成長)と読む」です。ノムさんはただ勝てばよいのではなく、結果はプロセス、過程によって生まれると力説します。「選手は失敗することではじめて、自分の力不足やいたらなさに気づき、次に何が悪かったのか、どうすれば成功するのかを考える。そうして努力を重ね、試行錯誤しながら成功に近づいていく。まさしくその過程でこそ成長するのである」という言葉には人間を見る大きさというか、信頼を感じます。

私事ですが、50歳前になっても人生で初めての挑戦とか失敗とか結構あります。手痛い失敗もあります。でも同時に失敗したからわかったことが多くあり、また修正できる、失敗から学べば新しい自分になれると自分を成長する存在としてみることもできます。

とかく結果がすべてのように言われる現実社会ですが、チーム力がない楽天イーグルスと選手たちに向き合ったときに、まさにノムさんの真骨頂があらわれたというエピソードで、ここまで過程にこだわるノムさんをまた再発見できる場面でした。自分の人生においてもピンチのときほど結果だけをバクチ的にもとめず、過程にこそこだわろう!と思わされます。

(つづく 次回は6月5日公開予定)

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