藤城清治さんの本【光と影の世界】をこの手に!

誰にでも平等に降り注がれる太陽の光。
地球生まれ、地球育ちの我々は太陽有りきの生活をしています。
太陽の恵みがあるからこそ、この星で暮らすことができます。
私たちは生まれながらに光の世界で生きています。
ですが光だけでは成り立ちません。

私たちの体からも決して離れることのない、生きている証のような「影」。
この世に存在しているものが与えられたものであり、背負うものでもあると言えるでしょうか。

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・「光」と「影」のイメージ

」のイメージは「明るい」とか「眩しい」とか「希望」ですかね。
」のイメージと言うと「暗い」とか「こわい」とか?もしかしたら、あまり良いイメージがない人も多いかもしれません。
逆に海の底、深海などは光が届かず真っ暗ですけど、そこには何か神秘的なイメージもあるのではないかなと私は思います。

このようにイメージは一人ひとり異なりますが、光と影自体は表裏一体の存在です。
光があるから影があり、光が強ければ強いほど影も濃くなります。淡い光であれば影もまた淡いものとなります。

ただだけであれば真っ白な世界。
ただだけであれば真っ黒な世界。

光と影はバランス良く共存しあっていて、決してどちらかが、中途半端な量で成り立つことは出来ないものです。生きることにも似ていますね(笑)

その光と影の世界をバランス良く、視覚的な効果として利用しているのが影絵です。

今回は書籍「藤城清治 光と影の世界」を少しご紹介しながら、影絵などに関する私の思い出なども交えながらお話しさせていただきます。

「やっと見つけた!」

本屋で探してもなかなか見つからなかったこの本は、藤城清治さんの展覧会に行った時に物販コーナーに平積みされており「やっと出会えた」の気持ちで駆け寄りました。
少しばかり重かったですが(笑)納得の充実感が得られる作品の数々が見られますので、もちろんすぐに購入しました。

・書籍『光と影の世界』

帯には「この地球に生きるよろこびを描く」と、ありました。
これは藤城清治さんが88歳を記念して作られた本で、フルートを吹く女の子が目印です。
中は全206ページ。
ほとんどカラー印刷で、たくさんの作品があり、贅沢な画集のようになっております。
また、展覧会の図録にもよく載っているのですが、藤城清治さんの職人の手(88歳の米寿版)も見ることができますよ。

そしてこの本は藤城清治さんの過去の話も少し記載されています。

絵を描くことが大好きだった少し内気な幼少時代、少しずつ絵を学ぶようになって油絵やエッチングを始めた中学時代。そして大学の学内の美術団体のパレットクラブに入り、そこで人形劇の経験を経て映像、そして影絵の世界へと入っていったことが書いてあります。
まさに絵が好きで描き続けていたからこそ広がった世界が人形劇、影絵人形との出会いにつながり、現在のスタイルの糧となったのですね。
また藤城清治さんの学生時代から影絵に繋がるまでの経緯には、「戦争の経験」もあります。20歳で海軍予備学生として入隊されたご経験を持つ藤城清治さん。戦争という生死と隣り合わせの場に置かれた状況でも、訓練の合間には仲間と共に人形劇をされていたそうです。この情熱には感動しました。

生死のかかった場に置かれた時に、果たしてそのように自分が楽しんだり、人を楽しませたり出来る心の強さを維持出来るのか。自分に問いかければ、その覚悟のすごさは計り知れません。
場の雰囲気をも変えてしまう藤城清治さんやその仲間の方々は本当にかけがえのない存在ですし、それがあったから私達が今こうして作品に触れられることに感謝せずに入られません。
その時の経験は現在の作風やモチーフにも影響されていると思います。

そして戦後、いよいよ影絵の人形劇に出会い、影絵の藤城清治さんの第一歩を歩むのでした。

・影絵人形劇って見たことありますか。

藤城清治さんが作られるような影絵は有名ですが、影絵人形劇ってピンと来ますか?
自分は藤城清治さんの作品ではありませんが、ちゃんとした影絵を一度だけ見たことがあります!!
はるか昔の小学生の頃ですが(笑)、影絵の劇団が学校に来て体育館を舞台に演劇を繰り広げられていました。
どんな話だったかは昔すぎて全く覚えてはいないけれど、体育館の窓を暗幕で隠し、部屋を真っ暗にした状態だけでもウキウキ好奇心が募ります。
何が始まるのだろう!期待は高まるばかり。
そこに「ぽぅ」と灯る光
体育館のステージいっぱいに作られた舞台の幕の裏から照らされた光によって影絵人形が浮き上がり、その中に不思議な世界が広がっていてとてもワクワクしたことを覚えています。
また「影絵」だから、電気をつけてしまうとその世界観は瞬く間に光に隠れて消えて見えなくなってしまうところも、また儚く魅力的ですよね。
終わった後はみんなで手を犬の形に握って、太陽の影を使って簡易的な影絵を作って楽しんだような気がします。(笑)

・人形劇の人形の後ろに人が見え隠れしても気にならない

それでは人形劇は見たことはありますか。
こちらも藤城清治さんの作品ではありませんが、人形劇に関しては、たまたま先日興味があって行ってきました。
その劇で使われた人形はなかなか大きめの人形を人が手足となって動かすので、黒子、と言うよりは人が丸見えなのですけど(笑)、とてもうまかったのでしょうね。人がいても全く邪魔にならず、人形が主体になっていましたので、話とその世界に余裕で引き込まれて見入ってしまいました。
しかも人形劇とはいえ、大人も充分楽しめるものでした。「人形劇は子どものもの」と、決めつけていたら見に行くこともなく、その世界に気付くことが出来なかったので、試しに行ってみて良かったです。
と、少し逸れてしまいましたが(笑)

スタイルは劇団ごとにも違うかもしれませんが、影絵劇や人形劇のイメージが少しでも湧いたら藤城清治さんが通ってきた道もより身近に感じられるかも知れないなと、少し昔のことを思い出していました。

そして戦後の世の中、世を諦めずに自分を貫いて興味のある世界観を旅した藤城清治さんが、心を響かせ経験されたからこそ今の影絵があるのだと思うと、本当に有難いですね。

・光と影は人生そのもの

光と影は人生そのものであり、
自然そのものである。
人生の美しさ、自然の美しさ、
神秘さ、あたたかさ、優しさを、
一瞬の止まった時間の中で、
一枚の影絵のなかで、静かに深く
描き出して行ければと思う。
(10頁から引用)

今回の本の、はじめに出てくる藤城清治さんの言葉です。
藤城清治さんの影絵は、静止画のように止まっていると言うよりは、その瞬間を捉えた作品が多いです。
風に揺れる描写や何か作業している場面、乗り物に乗って移動しているところ、羽ばたいている、とかですね。
まさにその時しか訪れない一瞬の刹那を捉えて描き出されているようです。

・白と黒の世界 色のない世界は、想像力を掻き立てる


(4月のうた 15頁引用)

戦後、藤城清治さんは影絵の制作を始められました。
この書籍にも白黒の作品が何点か載っています。白と黒、そしてその間を使って繰り広げられる世界。藤城清治さんの作品によく出てくるカラフルなこびとも、この時は真っ黒く描かれています。
真っ黒には描かれていますが、コミカルなこびとの動きはとても無邪気でカラフルな色彩が見えてくるようです。
また今のカラフルな作品を思い出しながら鑑賞しても、とても明るいキラキラ色彩が浮かびますね。
一方で、戦後に創作されたと言う背景を考えたら、当時の不安や虚しさや切なさも少し感じられ、その中で健気に楽しむ子どもたちのようにも映って見えて、、またこのこびと達を見る目が変わりますね。
風船のモチーフも多く、この現実ではない違う世界に行きたいという気持ちもあったのかななんて少し哀愁も感じてしまいます。

このように白黒の世界でさえ、色んな見方や想像させる力のある作品で、本当に奥深いです。
これは逆に色のない世界だからこその魅力でもあるのかも知れませんね。実に想像力が掻き立てられます!

・この頃のモノクロ作品が、
僕の影絵の基礎になっている(14頁引用)

しばらくいくつか白黒の作品を見ていると分かるのですが、白と黒の間の灰色の使い方が絶妙なのです!!
藤城清治さんは「ハーフトーン」、「色の階調」と仰られています。分かりやすく言えばグレーのグラデーションみたいな感じですかね。

そして注目させたいところの周りは白と黒のコントラストが強めです。やはり光を引き立たせるには他の背景は暗めにする必要がある、など絵を描かれていた技術が活かされているのでしょう。
絵画として作品を見ていると、絵画の画法の「グリザイユ画法」という、白黒で仕上げる描き方をも彷彿とさせました。
この白と黒とその間の色使いが、見えない色を想像させますね。

・そしてモノクロから色彩の作品へ・・!

本一冊を語る前に、主観や感想が掻き立てられてすべてを伝えられなかったので(笑)また次回も続けさせていただこうと思います。

今回はおもに影絵人形劇や人形劇、
白黒の作品についてお話させていただきました。
今度は色彩あふれるカラフルな「光と影の世界」「色彩編」として書かせていただきます!

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