ドラマ『泣くな研修医』がもうすぐ始まりますね。
外科医の岩井は、原作の中では重要な役どころを担っています。
ドラマでも全然人柄が違いますが、主人公の隆治を成長させていくうえで大きな関わりをしていきそうですね。

今回は原作『泣くな研修医』の中から、岩井の名言や他の人が岩井について語った言葉をご紹介します。

 

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岩井はどんな人物?

大柄な外科医、岩井は主人公雨野隆治の先輩外科医・佐藤の上司にあたる人物です。

隆治は患者に対して対応が冷たく、機嫌の悪いときが多い岩井のことをあまり好きになれません。高齢で認知症のがん患者へのがん治療をしなかったり、患者への温かみを感じないし、無神経な言葉が多いので、「自分はああはなりたくない」と思っています。

岩井の名言、名シーン

紙読むなよ、覚えろよ

(『泣くな研修医』幻冬舎文庫66ページより)

これは外科の会議(カンファレンス)で、隆治が94歳認知症のがん患者のプレゼン中に岩井が苛立たし気に言った言葉。
これをはじめて読んだときは、え?キツ過ぎない?こんな上司いやだわ~と思ってしまっていました。

この後岩井は、高齢の患者の治療を行わないことを決めます。カンファレンスでもみなが同意。
隆治だけなぜ治療すれば治るのに治療しないのか、と悶々とした思いを抱えます。

何度も読み返してみると、イラついた岩井の言葉は、治療はできるけれどもあえて治療をしないことを選ぶにあたり、揺れ動く心の中が表に出てきたのかもしれない・・・とも感じてしまいます。

人は一回会っただけではどんな人かわからないように、何度も味わうことで言葉の奥が見えてくるのかも、とも思えてきました。

痛くないですか、困ったことがあったら何でも言ってくださいね、なんでもしますからって言ってくれたんだ

(『泣くな研修医』幻冬舎文庫226ページ)

隆治が合コンで知り合ったはるかの母親は、八年前に胃がんで亡くなりました。
その時「何でも言ってくださいね、なんでもしますから」と言ってとても優しく親切に対応してくれたのが、なんと岩井だったのです。

はるかの母親がサンタの格好が見たいと言ったら、本当にサンタの着ぐるみを着てきたとか!
「ああはなりたくない」と思っている今の岩井と、はるかの話の中の岩井とのギャップに混乱する隆治。

この部分を読んだ時は(え?岩井先生?)とびっくりしたのですが、話を読み進めていくと(ああ、岩井先生ってそんな先生なのかも)と思えてくるんですよね。

岩井をはじめ、隆治以外の医師の方々の物語がものすごく気になってきます。

でも、お父さんも、ずっと、お辛いですよね。

(『泣くな研修医』幻冬舎文庫252ページより)

なかなか良くならない拓磨の病状を説明していると、拓磨の父親が「なぜ拓磨がこんな目に遭わないといけないんだ」と泣き崩れます。
じっと黙りこくる岩井。そばで聞いている隆治は、何か言ってあげたらいいのに、と心の中で思います。
この言葉は、父親が落ち着くのを待って、岩井が父親にかけた言葉の中のひとつです。
拓磨くんは戦っている、それは医師である自分たちが全力でサポートする。でも毎日見舞いながら何もできない父親も辛いですよね。ずっと戦っているんですよね。

ふたたび泣き崩れる拓磨の父親。
そっと父親の気持ちに寄り添う岩井の言葉に、胸がジーンとしてきます。
ずっと辛い思いを抱え、一人吐き出せずにいた父親の気持ちを、岩井はずっと知っていたんですね。

大柄な姿からはわからない細かな心遣いに岩井の本当の優しさを感じて、読んでいてこのシーンには涙が出そうになりました

岩井先生はしょっちゅう私のところに来て『息子さんが頑張っているからあなたも頑張れ』と言ってくれたんです

(『泣くな研修医』幻冬舎文庫 266ページより)

この言葉は、交通事故で入院した5歳の拓磨の母親の言葉です。
拓磨は腹壁破裂、母親は鎖骨骨折とむち打ちで別々の病室に入院しており、ずっと何ヶ月も会えないままになっていました。
手術後やっと調子が戻ってきた拓磨のもとに、岩井が車椅子を押して母親を連れてきたのです。

隆治は拓磨のことばかり気にかけ、母親のことを聞かれると病状もわからないままでしたが、岩井は拓磨のことだけでなく拓磨の家族全体のことを考えていてくれたんですね。それは父親への言葉でも感じられます。

立場上医師として患者への対応は冷静なものになってしまうけれども、その根底には隆治と同じ人を助けたいという温かい思いがあるんですよね。
隆治のような表に出た熱い信念ではなく、じっと奥に根を張った静かな信念となって、医師としての岩井の中に患者を思う心が核としてあるかのような。そんなことを感じるシーンでした。

まとめ

今回は原作の中から、外科医の岩井の名言、名シーンをお届けしました。
はじめは、嫌だなー岩井みたいなお医者さんって思いながら読んでいましたが、主人公の隆治よりも岩井という医師が気になっている自分を発見。『泣くな研修医』の岩井版を読んでみたいぐらいです。

岩井がドラマの中でどう描かれるのか、あまり出番がないのか、原作との違いが楽しみですね。

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