羊と鋼の森。
美しい音のある風景だけでなく心に響く言葉がこの本にはいっぱいです。
今回は映画では、山崎賢人さんが演じる主人公【外村編】名言集をお届けします!
2016年本屋大賞にも選ばれた宮下奈都さんの作品ですが、映画化もされています。
(詳しくはこちら)
この作品の良さを語るにはとても一度ではお伝えできません(笑)
調律師の成長物語が描かれていますが、主人公だけでなく、他の個性豊かな調律師もそれぞれ魅力的です。
今回はやはり主役!外村に注目して彼の素敵な心に響いた言葉をお届けしようと思います。

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『ピアノに出会うまで、美しいものに気づかずにいた。知らなかった、というのとは少し違う。僕はたくさん知っていた。ただ、知っていることに気づかずにいたのだ。』羊と鋼の森24ページ

これといって何かやりたいことがある訳でなく、平凡に過ごしてきた高校生の外村が初めて調律の世界を知った瞬間。

外村が生まれ育った大自然。彼の心にはすでに美しいものがあったのです。
木、葉、草、花、風、光、匂い…美しい景色。
ピアノの音に出会ってその『ある』に気づく、そんな一文です。

外村を調律の道へと突き動かしてしまうほどの強いもの。
この本全体の印象でもあるのですが、この言葉もそうです。とても静かなのに、内に秘める情熱が半端ないのです!もうえぐられそうになるくらいに(笑)

ヘレンケラーが水を知る有名な場面。モノには全てに名前があると『気づいた』瞬間。
外村が美しいものに『気づいた』瞬間が私にはそれと同じくらい重なって見えました。

何かの瞬間、全てのことが引き出されていく。
知らなかったと思っていたものが、線と線で繋がり一気に知るになるという場面。
この静かさの中に激しさまで私には感じ、一気に本に引き込まれていった言葉です。

また、本当に大切なこと、私は気づけてるだろうか?
知ってはいるけれど、知ってるつもりだけれど、大切だと気づけていないことないだろうか?
そんな問いを与えてくれる文でもあったなと思ってます。

『僕には才能がない。そう言ってしまうのは、いっそ楽だった。でも、調律師に必要なのは、才能じゃない。少なくとも、今の段階で必要なのは、才能じゃない。そう思うことで自分を励ましてきた。才能という言葉で紛らわせてはいけない。あきらめる口実に使うわけにはいかない。経験や、訓練や、努力や、知恵、機転、根気、そして情熱。才能が足りないなら、そういうもので置き換えよう。もしも、いつか、どうしても置き換えられないものがあると気づいたら、そのときにあきらめればいいではないか。怖いけれど。自分の才能のなさを認めるのは、きっととても怖いけれど。』羊と鋼の森139ページ

『道は険しい。先が長くて自分が何をがんばればいいのかさえ見えない。最初は、意志。最後も、意志。間にあるのががんばりだったり、努力だったり、がんばりでも努力でもない何かだったりするのか。』羊と鋼の森212ページ