羊と鋼の森。
若い方に大人気の山崎賢人さん主演の映画が6月8日より公開されますね。
この作品は2016年本屋大賞に選ばれた宮下奈都さんの「羊と鋼の森」の映画化です。
『月刊ショパン』6月号では映画について大特集!
なんと43ページまで『羊と鋼の森』に関するお話ばかり!これは嬉しいです!

(『月刊ショパン』2018年6月号)

山崎賢人さんの魅力たっぷりのスペシャルインタビュー、原作者宮下奈緒さんが語る『羊と鋼の森』について。
またエンディングテーマにも触れています。
作曲、編曲をジブリの世界でも有名な久石譲さん、ピアノ演奏は全盲のピアニスト辻井伸行さん。
そして今回私が注目したいのは、調律師さんの仕事の記事。
調律師さんの仕事の裏側がぎっしりで、私たちが知らない事ばかり。
公開される映画を前に調律師さんの仕事をよく知ることで、山崎賢人さん始め、他の俳優さん達が演じる調律師の役にもどっぷり浸かって楽しめるのではないかと思います。

山崎賢人さん演じるのは、ある日をきっかけにピアノの調律に魅せられた青年役を。
仕事を通していろんな方と関わる中で成長していく物語は、ピアノ、音楽に詳しくない方にも楽しめる作品と思います。

そんな山崎賢人さんに期待したいところ。この映画に期待したいところ。
『月刊ショパン』に取り上げられてる内容と、私が実際ベテラン調律師さんから直接お聞きしたお話も取り入れながら、映画で楽しんで頂きたいポイントをお伝えできたらと思います。

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山崎賢人さんに期待したいところ

(『月刊ショパン』6月号より)

まず私が感じたこの本の印象は、静かで美しく強い。静かな世界に音が響いているという印象です。
物語の展開も大きく揺れるものでなく、静かに進んでいきます。
調律師というお仕事で成長していくその過程で、音と向き合い、悩み、喜びそんな姿を山崎賢人さんはどんな演技で見せてくれるのでしょうか。

山崎賢人さん演じる外村が高校生で初めて調律というものを知り、その後の人生を変えてしまう音の世界。その時に出会った音が
『静かであたたかな深さを含んだ音』と文中にあります。
その音とはどんな音だったのだろうか。小説でも漫画でも音を取り扱う作品は自分の想像力をとても働かせるものですが、映画やテレビ化では実際の音を聴くことができます。

どんな音なのだろうかという興味と、山崎賢人さん演じる外村が調律の仕事を目指そうとまで思った音に出会ったそのとき、一体どんな表情をするのだろうかと。
音を作る調律師という役。私はセリフよりも表情に注目しているのです!

(『月刊ショパン』6月号より)

『月刊ショパン』では、山崎賢人さんは撮影の3か月前から、実際に調律の先生について教わっていたとあります。
作業的な仕草を覚えるのはなんとかなったけれど、やはり困難だったのは「音を作る」ということだったようです。とても繊細で、なんとなくはできてもこれっ!!というものまではできなくてと。音を作るという世界はどれほど大変なことかと思うと、コンサートホールで普通に奏でられているドレミの音も、より一層味わい深く聴くことができそうです。

作品には個性豊かな調律師が出てきます。山崎賢人さん演じる外村は一見とても平凡です。
調律師を目指した時ピアノに触れたことがあるとか、弾けるとか、詳しいとかそういうのも一切ない。

けれども彼の中にある多彩なイメージ。
山という自然で育った彼には、いろんな音が心の奥に初めからあります。

木、葉、風、花、鳥、匂い、光…

さてこの部分にも触れていることが『月刊ショパン』にあります。
少し和む楽しいお話も(笑)
撮影された場所は真冬の北海道とのこと。ラーメンやお寿司、ジンギスカンと美味しいものをいろいろ召し上がっていたそうですが(笑)

何と言っても本作の魅力でもあるでしょう!美しい景色。
山崎賢人さんも山という自然で感じる、都会にはないモノ。
自然の音に敏感になり、繊細なものを感じ取りたいとありました。

木が風で揺れている様子、自然の中にある音、匂い。

やはり山崎賢人さんも、外村という役、平凡な彼の強みとは『山で育ったという強み』と仰っておられます。

『羊と鋼の森』とはピアノそのものです。

羊とはピアノの弦を叩くハンマーの部分。
鋼とはピアノの弦。
そして『森』。

ピアノの材質である木のことでもあるけれど、彼自身であったり、彼の人生であったり、いろんな形で『森』と表現されているのだと思います。
『外村くんみたいな人がたどりつくのかも』と尊敬する調律師に言わせてしまうほど。
『まっとうに育ってきた素直な人』

森の中で森の音を聴き、良い音を求めコツコツ追求していく姿。
山崎賢人さんが静かだけれど情熱を持っている、そんな調律師の役をどう魅せてくれるのかとても楽しみなのですね。

ピアノは鍵盤を押せば音が鳴る…
でもそんな単純なことではなくて、木があること、羊がいること、ハンマーがあって、弦を叩いて、音になって…
自然がピアノそのものに凝縮されていく、機械ではできないものがあるということを、山崎賢人さんご自身が感じられ映画の世界で表現されていきます。

10年お世話になっている調律師さんも仰ってました。
現代は電子ピアノがお手軽さと住宅状況などから人気なのですが、グランドピアノの音に近づいた音色ではあるけれども、やはり電源をオンにすると出る音なのです。自然の音はやはり生み出せないものですよね。

どんな音を映画では生み出してくれるのか。
物語を読んでイメージした音をリアルに聴けるという面白さが音を扱った映画ではありますね。

本には素敵な言葉がたくさんあり、山崎賢人さんもグッときた言葉を『月刊ショパン』のインタビューで上げられています。
「こつこつです」
「ここから始まるんですよ」
「才能というのは好きでい続けること」
本をもうすでに読んでいる読者の方なら、その場面想像しますね(笑)

山崎賢人さんが大切に感じたものを知っているだけで、6月公開の映画もより一層味わって楽しめるかと思います。

私は言葉でない、表情や仕草に注目したいと思ってます(笑)

久石譲さんと辻井伸行さんのエンディングテーマにも注目

本が音になった世界、その魅力をさらに深めて下さるのが久石譲さんと辻井伸行さんの音楽。もう、私にはこのお二人のコラボだけでも見る価値はじゅうぶんなのです(笑)

久石譲さんはジブリ音楽で有名ですよね。皆さんが聴きなれた音楽がたくさんあります。
でももっともっといろんな音楽を久石譲さんは手掛けております。
ジブリ音楽同様にCMの音楽も担当されていたりしますので、それ、久石譲さんの曲だったの??というのもあるかと思います。

私のおススメ曲は伊右衛門のお茶のCMでも使われた『Oriental Wind』
作られたたくさんの曲、私も全部を知り尽くしているわけではないですが、『和』を感じながらも情熱的な音楽に聴き入ってしまいます。
そして他に好きな曲は(いっぱいあるんです(笑))『遥かなる時間の彼方へ』
先程の和とはまた違った趣で、もう神秘的な世界です。

そんな久石譲さんの映画エンディングテーマに期待は自然と高まります。
『奥行を出せるように、ミニマル的な部分とメロディアスな部分の交差する曲を意識』
久石さんの言葉が『月刊ショパン』にはあるのですが、正直理解できていません(笑)
映画を観てここは実際に感じてみようと思うところです(笑)

そしてピアノを弾いて下さるのは辻井伸行さん。
私はこの方の優しい温かい音色、そして独特な鍵盤を撫でるようなタッチが本当に好きで、一音一音を大切に感じながら弾いてるのが伝わってきます。
辻井さんは全盲のピアニストとして有名ですが、耳で感じる力がものすごく長けていらっしゃると思いますが、この耳で感じるというところ、今回の映画に通じるものがあります。
辻井さんの弾かれるクラシックはリストやショパンなども多いですが、個人的にはモーツァルトが好きで何度も何度も聴きました。
『それでも生きていく』この曲もとても好きで、序盤とても悲しいのですが、段々と明るく開けていきラスト未来を感じる終わり方が、夢とか希望とか満ちてきていろんな方が勇気づけられる曲かと思います。

辻井さん自身、今回の本を点字にして読んでいるそうです。
また久石譲さんの大ファンであられるということです。
お二人の奏でる音楽、より映画を楽しませてくれるものと思ってます。
私は興奮してきっと冷静に聴けない気がします(笑)

調律師さんの素晴らしさ


我が家にもピアノがありますが、ピアノの先生に言われたことは
「ピアノももちろん大切ですが、調律師さんがさらに大切です」
ということを何度も聞いてました。
調律師さんの腕にかかっているというくらい、良い調律師さんを見つけましょうと言われてきました。

『月刊ショパン』でも調律師さんの仕事、調律師さんが使う道具、調律師さんの現場の様子、インタビュー、質問コーナーなどこれでもかと調律師さんのことが取り上げられています。

久石譲さん、辻井伸行さんも調律師さんの大切さについて語っています。
久石さんは『音は出さないけど立派な音楽家だ』
辻井さんは『演奏する時は一人ですが、一緒にコンサートを作りあげている』
と話されています。

我が家のピアノを調律して下さる調律師さんもコンサートホールと家庭でのピアノではまた違いますし、コンサートホールの難しさをよく教えて下さってました。
今回の『月刊ショパン』には調律師の越智晃さんがインタビューに答えてます。越智さんはショパン国際ピアノコンクールでファツィオリ社のピアノを担当された方でもあり、国際コンクールなど他にもたくさん調律を任されてます。

そんな方の貴重なお話を聞いて下さってありがとう!と『月刊ショパン』に感謝ですね(笑)

11歳の時に調律師になりたいと思ったという越智さん。

心がけている事に『我を入れない』とあります。

自分が理想とする音をエゴに求めない、目指すはピアノが気持ちよく響く音だと。

もう鳥肌がたちました。
このあたりは本にも出てくる部分ですが、調律師さんがどこに合わせるのかと。
自分でなく、弾き手である人に、ピアノに寄せていく。
弾き手の魅力と、ピアノ本来が持つ音を作っていくことで私たちが普段楽しんでいる素敵な演奏会が成り立っているのですね。

弾き手に寄せていくというところ、私はずっと本を読んで気になっていたのです。
「柔らかい」「明るい」「深い」音。
私は調律師さんにお願いする時に大体この3本柱が多いです。いつも何も疑問さえ持たず、いい音色にして下さるなぁと満足していたのですが、本を読み、調律師さんの裏側(笑)のようなものを知った時、なんと当たり前に調律してもらっていたんだろうと有難さをヒシヒシ感じました。

本にもあるように、何を基準として考えるのか。固い音、柔らかい音というものを。

本にある卵の話が分かりやすいです(笑)
柔らかいというのを半熟卵なのだとしても、とろっとろなのか、しっとりなのか。
8分のゆで卵なのか、11分のゆで卵なのか(笑)
同じように『柔らかい』を求めても人それぞれで好みがあるということ。

その『柔らかい』はどんなイメージなのか。意思の疎通がいるし、イメージの共有ができたとしても、そこからが遠いのだと。でも、それこそが調律師の仕事なのだと本にはあります。

私はこの本を読んでこのあたりを直接確かめたくなって、実際にお世話になっている調律師さんに聞きました。
なぜ、イメージ共有できていたのかという部分です。

調律師さんは「コミュニケーションですね。」とあっさりでした(笑)確かに10年もお付き合いあればどんな好みかは伝わっているのでしょう。調律以外のいろんなお話をしている中できっと探してくれていたのですね。

そして家の音があると仰いました。
本にもあるお客さんの型という部分なのかなと。
二つのタイプに分かれるようで、音程合っていればそれでよいタイプと、音色に注文を付けるタイプ。音色に注文をつける方が稀であると本にあるのです。

なんとも、私は調律師さんを苦しめていなかっただろうかと(笑)、そんなことも思いながら正直にお聞きしました。
どこまでも2割の世界なのだと。全体の2割がそういうものを求め、またさらに2割が求めという感じであると。
でもその2割の音を求めるお客様に私たちは引き上げてもらっている、向上させてもらってると話される謙虚な在り方に涙をこらえるので必死でした。

求める音に苦しまないのですか?という問いに
「そりゃ、悩みますよ。でもそれがやりがいですよね!」と笑顔で話される調律師さん。

6月8日より公開される注目映画『羊と鋼の森』
調律師さんの素晴らしさ、本当に私は知って欲しい!
山崎賢人さんたち俳優さんがきっと映画で伝えて下さるでしょうし、久石譲さん、辻井伸行さんの音楽がさらに盛り上げて下さることでしょう。
期待いっぱいのイチオシ映画、感想はまた公開後に書きたいと思います。
(映画の感想はコチラ)
お読み下さりありがとうございました。

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