話していた相手が「えらいわー」と言ってきたら、どんな意味が頭に浮かびますか?
「えらい」は相手を褒めたたえる言葉として、学校で習ってきましたよね。ところが、「えらい」は地域によって、別の意味にも捉えられるんですよ。

標準語でもあるのに、日本各地で方言としていろんな意味で使われている「えらい」。今回は、各地の「えらい」の意味や使われ方について調べてみました。

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標準語で「えらい」はどんな意味?

新小辞林 第五版によると、

1.尊敬に値するほどすぐれている。立派だ。
2.地位が高い。「会社の~人」
3. 程度がはなはだしい。「~ことになった」

と書かれています。

辞書の1にあるように、一般的に「えらい」は、「立派だ」「偉い」という意味で使うことが多いですね。
驚きなのは、辞書に「程度がはなはだしい」という意味が書かれていること。「えらいことになった」「えらい寒さだ」などは、方言かと思っていました。辞書にあるということは、全国的に共通して「はなはだしい」という意味で使われているということですね。

 

「えらい」はもともとどんな言葉?起源は?

そもそも、「えらい」が中央での言葉として文献に出てきたのは、江戸時代中期頃。
もともとの意味は「大変だ」「非常に」「すごい」という意味で使われていました。上記の辞書の意味の3、「程度がはなはだしい」にあたりますね。

それが幕末にかけて、地域によって独自の意味が加わり、方言が形成されることになります。

江戸では「えらい(非常に、大変)良い」から「立派だ」「偉い」という意味で使うようになり、幕末頃に定着。標準語として使われることになりました。
ちなみに、もとの「えらい」は平仮名表記で、今のように漢字の「偉い」が使われるようになったのは、明治中期頃からなんだとか。

一方西日本には、「えらい(大変、非常に)体が重い」などから「疲れた」という意味で広がり、方言として定着しました。
「えらい」が「疲れた」の意味で使われるのは、甲信・東海・中国地方、福井・滋賀・香川県など、広い範囲に及びます。

同じ「えらい」という言葉から、東日本と西日本で「偉い」と「疲れた」まったく違う意味が定着するとは、すごく面白いですね。文化や当時の生活などが関係しているんでしょうか・・・。

地域ごとに方言「えらい」の意味と使い方を調べてみました

「えらい」には標準語だけでも「立派だ」「はなはだしい」の意味があるので、会話の中での意味は、文脈から判断するようになります。さらに「疲れた」の意味が入ると、もっとややこしくなりますね。

では実際、方言としての「えらい」は地域ごとでどんな風に使われているのでしょうか。各地域の、「えらい」の「偉い(立派だ)」以外の意味をご紹介しますね。

関西弁の「えらい」の意味と使い方

関西弁で「えらい」はおもに、「しんどい(疲れた)」、そして「大変」「とても」の意味で使われています。

a:「えらい顔色悪いなあ(とても顔色悪いね)」
b:「今日はえらいわー(今日は疲れてるのよー)」
みたいな会話もできますね。

関西弁では、「大変」「とても」の意味の「えらい」に「ど」をつけて、意味をより強調することもあります。「どえらい」になると、「程度がはなはだしい」「超すごい」という意味に。
例えば、「どえらいことになったな(とてつもないことになったな)」。漫才などで「どえらい」はよく聞きますね。

また、「えらいことしてくれたな(困ったことをしてくれたね)」のように、「手に負えないこと」「困ったこと」という意味にも使います。さらには「疲れた」の意味で使うこともあります。

名古屋(愛知)の「えらい」の意味と使い方

名古屋弁で「えらい」はほぼ、「疲れた」「つらい」「だるい」の意味で使います。

名古屋といえば、「えらい」に「ど」がついた「どえらい」(どえりゃー)を思い出す方も多いのではないでしょうか。この場合、「どえりゃー」は「ものすごい」という意味になります。
「えらい」だけなら「疲れた」の意味なのに、「ど」がついたら「ものすごい」という程度を表す言葉になるなんて、面白いですね。

中国地方の「えらい」の意味と使い方

中国地方では、「疲れた」「苦しい」という意味で使うことが多いです。
「今日はもうえらいわ(今日はもう疲れたわ)」みたいに使います。

もちろん「大変だ」「とても」の意味でも使うので、「今日はえらい(とても)遅かったね」「うん、体がえらかった(きつかった)んよ」なんて会話もできます。


四国地方の「えらい」の意味と使い方

四国の中でも香川県では、「疲れた」という意味で使われ、他の3県は「大変だ」の意味で使われるようです。
どうして香川だけ「疲れた」の意味で使われるんでしょうね。気になります。

ちなみに、徳島の阿波踊りの掛け声「えらいやっちゃ」は、関西弁の「えらいこっちゃ(大変なことだ)」、「どえらいやっちゃ(すごいやつだ)」が語源とも言われています(諸説あり)。


九州の「えらい」の意味と使い方

九州では「疲れた」の意味で使われず、標準的に、「とても」「非常に」の意味で使われています。
例としては、「九州はえらいよかとこやけん(九州はとってもいいところだから)」のような使い方です。


まとめ

今回は「えらい」の語源、意味や使い方をご紹介しました。
標準語としての意味と方言としての意味があって、面白い言葉ですよね。
「えらい」を「疲れた」という意味で使わない方は、きっと他県の方と話すときには困惑する方もいると思います。「今日はえらいわー」なんて言われたら、「今日が偉い?」って思っちゃうかもしれませんね。ぜひ、話の前後の文脈から推測して会話を楽しんでください。