旅館のお部屋って、たいてい窓際に椅子と小さなテーブルが置かれたスペースがありますよね。
あそこでのんびりおしゃべりしたり景色を眺めたりするのがとっても楽しいんですが、あのくつろぎスペースってなぜあるのでしょう?
今週の「チコちゃんに叱られる!」が問題と答えで教えてくれましたよ。


問題:旅館の窓際にある「あのスペース」ってなに?
答え:元廊下

元廊下! つまり建物の歴史が関係しているんです。
この記事ではお泊りが楽しくなる旅館の歴史を徹底解説しちゃいますね!
初登場のゲスト、NMB48 渋谷凪咲さんやアンジャッシュ児嶋一哉さんも日本旅館の変遷に感嘆しきりでした。
さっそく番組の内容をお伝えしていきます!

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ゲスト出演者・回答者・語り・MC

 【ゲスト】NMB48渋谷凪咲さん、アンジャッシュ児嶋一哉さん
 【回答者】京都府立大学大学院 准教授 松田法子(まつだのりこ)先生
 【語り】森田美由紀アナウンサー
 【MC】チコちゃん、岡村隆史さん

番組内容

チャレンジするのはNMB48渋谷凪咲さん

さっそくチコちゃん
「このなかで一番、日本中を飛び回っているステキな大人ってだーれ?」

あちこちいっぱい行ってるんじゃないかと岡村さんから指名された凪咲さん。
日本全国、名古屋や福岡にも行きましたよと可っ愛いドヤ顔がたまりませんっ!
笑顔も声もほんとに可愛いです(嬉)。

で、チコちゃんが尋ねます。
旅館のお部屋ってたいてい窓際に椅子と小さなテーブルが置かれたスペースがあるけど、あれって何?

凪咲さんは、旅館の人がお客さんをおもてなしするために~と始めたんですが。
それは旅館のすべてがおもてなしのためにあるでしょ、とチコちゃんに一刀両断されました(笑)。
ベランダ!と言い直したものの、ぼーっと生きてんじゃねぇよ!と。

続いて「ねぇわかる?」と児嶋さんに振ってみたチコちゃん。
ところが、ここでチコられちゃった(正解されちゃった)んですね~、残念!
全員、「とまこまい」を漢字で書かされるはめに(笑)。
もちろんって言ったら申し訳ないんだけどみんな書けなくて、また叱られちゃいました。
さて、旅館の客室のあのスペース、何なのでしょう?

昔の日本建築は外廊下が普通だった

今回の回答者は、京都府立大学大学院 准教授 松田法子(まつだのりこ)先生です。


先生の解説によれば、旅館の客室の窓際にあるあのスペースは、もともとは長い廊下だった場所。
それを部屋ごとに区切ったのです。広縁(ひろえん)とも呼ばれています。
明治時代以前の旅館は、大部屋をふすまで区切っただけで、廊下はその外側にありました。
お客さんたちはそれぞれのお部屋へ行くときに、この外廊下を通っていました。
当時は旅館だけでなく、多くの日本建築物がこのように建てられていました。
電気の照明がまだ無かった時代ですから、この建て方だと広縁から外からの光を取り入れやすかったのですね。
さらにこの外廊下は、長期に滞在するお客さん達が洗濯やら食事の支度をする場所でもありました。
外廊下は様々な用途を持つ、便利な場所だったのです。
そんな外廊下が、なぜ現代の旅館にはもう無いのでしょうか。

世界中からお客様をお招きしたい!

現在の旅館が内廊下方式であるのはなぜか。
それは、明治時代になってから外貨獲得のためというのもあって、外国人観光客に訪れてもらいやすい施設づくりを目指したからです。


欧米の人々にとって、普段、家でもホテルでも部屋というものは個室であることになっています。
この方式はプライバシーを保つためにとても良いものです。
ところが明治時代までの日本では、お客さんはみんな宿の大部屋に複数人で寝泊まりするのが当たりまえでした。
それでは外国のお客様にはくつろいでもらうのが難しいでしょう。
ということで、全国の宿泊施設がどんどん改築されていきました。

はじめはふすまで区切られていただけの大部屋。
そのまわりとぐるりと一周する外廊下。
お客さんたちはどの部屋にも自由に出入りできました。


それが明治時代に始まった改造によって、まず大部屋の真ん中にドーンと内廊下が通されたのです。
これにより大部屋は二つの部屋に分けられました。
さらにそれぞれの部屋が少人数用にもう少し細かく分けられ、各部屋はしっかりと壁で区切られました。
部屋の入り口には鍵を取り付けることで、安全でプライバシーも守られる個室ができあがりました。
このときに外廊下にも各個室の壁が延長されてそれぞれの個室の一部となりました。
板張りだった元外廊下部分には、畳にすぐなじめない外国人であってもくつろげるように椅子とテーブルが置かれました。


こうして外国人観光客にも優しい、新しい形の日本旅館が誕生したのです!

法律も後押し

昭和27年には、外国人旅行者に国内の宿泊施設を気持ちよく利用してもらえるように、国際観光ホテル整備法が定められました。
その中に『椅子およびテーブルの備え付けのある広縁その他の施設があること。』という一文があります。
宿泊施設には、広縁やそれに類する施設があることが義務付けられているのですね。


現在、多くの旅館の客室にあのくつろぎスペースがある理由は、そうした法律の後押しも含め全国的に広縁の建築様式が広まったことにあると言えます。

回答者おすすめの広縁

全国さまざまな宿泊施設を研究してらっしゃる松田先生が素敵な広縁をいくつかおすすめしてくださいました。


長野県は別所温泉にある、とある旅館の広縁や、京都府は日本三景 天橋立にある旅館の広縁。
三軒目に紹介された同じく京都府の創業300年になる老舗旅館の広縁については、実は松田先生が学生のころ卒業論文のテーマに選んだのがこの旅館で、今も大変思い入れがあるとのことでした。
いずれのお宿も豊かな緑に囲まれた広く美しい敷地の中にあって、心安らぐ素晴らしい環境でした。


というわけで、
問題:旅館の窓際にあるあのスペースはなに?
答え:元廊下・・・でした!


松田先生
「チコちゃんが旅館の中で好きな場所ってどこかな?」
チコちゃん
「試食ができるおみやげ売り場です。」
まったくもって同感です!!

まとめ・次回の放送予定

旅館のお部屋の窓際にあるまったりスペース。
今は広縁と呼ばれていますが、元は廊下だったとは!
そして歴史的には、昔の人達が外国のお客様たちをもてなすために生まれたものだったんですね。
当時、初めて内廊下や鍵の付いた個室を見た日本人達がどれだけビックリしただろうかと想像すると楽しいです!!

次回の放送予定日
6月4日(金) NHK総合1 午後7時57分〜午後8時42分(45分)
タイトル:▽割り箸の謎▽アイスはなぜバニラ?▽森と林の違い
ゲスト:伊藤沙莉さん、天野ひろゆきさん

次回もとっても楽しみですね!