印象的なギターソロで始まるビート系の格好いい曲、氷室京介の「STAY」

ヒムロックらしいエイトビートが冴えるこの作品、実は、切なさを感じるラブソングなのです。
バラード調のしっとりとしたラブソングとはまた違う趣の、この「STAY」の世界観を感じてみたいと思います。

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なにを失えばいい?どんな答えを探す?

なにを失えばいい
こんな乾いた街で
どんな答えを探す
こころにひとつの夢で 愛で

これは「STAY」の歌詞のワンフレーズ。

「私は、これ以上、なにを失えばいい?」

「私は、どんな答えを探す?」

そう、自らに問いかけた経験がある方がいらっしゃるかも知れません。

生き方につまずいて、挫折して、もう何もかも失ってしまったように感じる虚無感。
心が乾いて、この街もカラカラに乾いて、どこに行っても違うように感じる焦燥感。

でも、そんな自分を投げ出したくなくて、あきらめたくなくて。周りとも、自分とも、折り合いをつけたくなくて。
そういう中で、「私は、どんな答えを自分で見つけていく?」と、問いかけながら、自分の進むべき道を模索していく。初めて聞いた時は、そういう(作中の彼の)生き方が垣間見える歌詞だと、感じました。

誰があなたを傷つけに来ようとも

涙をさらってみせる
誰かが傷つけても
STAYこの胸にだけ 眠っておくれ

「彼の生き方を垣間見た」と感じた後に続くこの歌詞には、愛おしい人の存在が見えてきます。

(あなたの)涙をさらってみせる
(あなたを)誰かが傷つけても
(あなたは、私の)この胸にだけ 眠っておくれ

少々野暮ったいですが、元々の歌詞に、隠された(主語)を付け加えてみました。
実は最初、この歌詞の主語は(私)だと思って聴いていたのです。

今改めて、(あなた)の存在を感じながら聴いてみると、(あなたへの)とても大きな愛が溢れていることに気づきます。

“誰があなたを傷つけに来ようとも、私はあなたを守り抜く”

そういうメッセージを感じるのです。

ふたりの意味が変わる

「罪を重ねればいい それが真実ならば」
という意味深なフレーズが、曲の中盤に現れてきます。
二人の関係性は分かりかねますが、許されない間柄だったのかも知れない、ということをイメージさせます。
そして、いつの日か、その「ふたりの意味が変わる」のです。

もう はなしはしない
このまま抱いていたい
STAY 欲しいものなんて ほかにはないさ

こんなにまっすぐな愛の言葉が、バラードではなくエイトビートに乗せられているのです。

それがむしろ、切なく心にずしんと響いてきて。

この世界には、数え切れないほどたくさんの愛の言葉があると思いますが、「もう離しはしない」という言葉には、運命的なものを感じます。

一度は手離してしまったけれど、もう二度と離さない、離す訳がない。

そういう何かストーリーを感じずにはいられないのです。

出会ったこと、別れたこと、そしてまた出会えたこと。

そういうものに人は「運命」と名前をつけるのかも知れない、そんなことを思うのです。
そして、そういう人とならどんな困難も乗り越えられる。お互いがお互いを想いながら、想い続けながら生きることの尊ささえ、感じるのです。

「MISSING PIECE」の中の「STAY」

この「STAY」という作品は、1996年6月にリリースされた12枚目のシングルで、以前ご紹介させていただきました「MISSING PIECE」という6枚目のアルバムの1曲目に収められています。
このアルバムは、ニール・ドーフスマン氏をエンジニアとして迎え、美久月千春氏と佐橋佳幸氏がプロデュース&アレンジを行い、1年以上の歳月をかけて創られました。

「自分が音楽をやっていく中で、何を求めて一体どこへ向かっているのか?自分が生きているということを、どこに向かって何を求めているのか?って大事で。これは俺だけに限らず、万人の永遠のテーマだと思うんだけど。(中略)いつも何か欠けている、何を求めているかすら分からないって人は多いと思うよ。(中略)それでも自分に欠けている何かを探し続けることが生きることだと思うんだよね。(中略)それで、このタイトルをアルバムに使いたいなということで、1枚のアルバムが出来上がりました」
(『氷室京介ぴあ (ぴあMOOK) ムック – 2013/8/20』より一部抜粋)

氷室氏が求めている音楽のひとつのピースとして、「STAY」という曲がある。そういうものを感じながら聴くと、また違った味わいを感じることができます。

「STAY」PVで出会えるヒムロックの格好よさ

最後に、「STAY」のプロモーション・ビデオで出会える氷室京介の格好よさをお伝えしたいと思います。
このプロモーション・ビデオは、映画監督で映画プロデューサー、脚本家のジョージ・ルーカス氏率いる「インダストリアル・ライト&マジック(ILM)」(1996年当時)のスタッフによって、撮影・制作されました。

「このILMというのは現在、世界でも最先端の特撮技術を持つ集団として知られている映像会社だが、今回はヒムロックのために、そんな彼らにとってはチャレンジともいえる、大がかりなギミック一切なしのストレートな作品を制作してくれた。彼らにとっては『氷室京介』というアーティストの存在がそういったチャレンジをしたくなるほど魅力的な存在だったということなのだろうが、このかけは見事に成功したようだ」
(『ファンクラブ会報誌KING SWING 1966 No.28』より一部抜粋)

とあるように、「氷室京介」という人間の存在感を余すところなく表現しているプロモーション・ビデオだと思います。
とにかく、格好いいのです。ヴィジュアルももちろんなのですが、その圧倒的な存在感が全面的に出ています。一つ一つの動き、表情、そして声、それら全てがたまらなく格好良くて、しびれてしまいます。きっと男性ファンもしびれてしまうだろうな、と思う映像です。

このプロモーション・ビデオは幸運なことに、「OFFICIAL WEB SITE HIMURO.COM」で観ることができます。
以下よりご覧いただきましてヒムロックの格好よさを感じていただければと思います。
【KYOSUKE HIMURO -STAY-】

読んでくださって本当にありがとうございました。

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