たくさんの地域で使われている「けん」という方言。
西日本の多くの地域で使われているので、耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。

「~けん」と語尾につけたりして使われたりしますが、地域によって意味が違う場合もあり、会話で戸惑うこともあるかもしれませんね。

そこでこの記事では、方言「けん」がどこの地域で、どんな意味で使われているのか、おおまかに調べてみました。

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どこで使われる?どんな意味?

「けん」が使われているのはおもに中国地方以西ですが、東日本でもところどころで使われている地域があります。

西日本

西日本で使われる「けん」の意味はどこの地域でもだいたい同じで、「~から」という理由を表します。

語尾に使われる場合と、文章をつなぐ言葉として使われる場合があり、地域によって「けん」のみで使ったり、他の言葉とくっついて「だけん」や「じゃけん」「やけん」のような形で使われます。

◇語尾に使う◇
用例:これは明日使うものやけんね(明日使うものだからね)
→軽く確認する、強調する

◇文章をつなぐ言葉(接続詞)として使う
用例:雨やけん、傘持っていきよ(雨だから、傘持っていきなさいよ)
→理由を表す

九州地方

九州では広く「けん」が使われています。代表格は博多弁です。
熊本や大分、宮崎、長崎なども博多弁と同じように使います。

九州の中でも、鹿児島弁では「けん」は基本的に使わないそうです。
鹿児島は隣県の方言ともアクセントや言語が全く違います。
鹿児島弁は江戸時代、外様大名だった島津家が幕府から機密情報を守るためにつくった人工言語であるため、九州のほかの言葉とは全然違うものになっているという説があります。

四国地方

四国でも「けん」は日常的に使われています。
とくに愛媛県は「けん」をよく使うそうです。

もちろん「けん」が使われていない地域もあり、香川県では高松がある東部では「けん」を使いますが、西部では「きん」を使います。
高知県でも西部では「けん」を使わず、「~き」を使うようです。土佐弁といえば、ドラマなどで坂本龍馬が「~やき」というのが印象的ですね。

中国地方

岡山、広島弁といえば、「(じゃ)けん」「(じゃ)けぇ」を思い浮かべる方もいるでしょう。
中国地方では「けん」が訛って「けぇ」と使う地域が多いです。

たとえば、語尾では「好きやけぇ」、文章をつなぐ接続詞の場合は「じゃけぇ、言ったのに」といった形です。
「けん」は強める言葉ですが、「けぇ」は「けん」よりもちょっとくだけた感じに聞こえますね。

東日本(長野、静岡県)

長野県や静岡県でも「けん」が使われますが、県の中でも一部の地域の方言として使われているようです。
意味は西日本と同じで「~から」という理由を表しますが、「~だけれども」を意味することもあり、ニュアンスが少し違ってきます。

長野県

九州や中四国地方から遠く離れた長野でも、「けん」が使われています。
長野県の中野市あたりでは、「~けど」が訛った言葉として「けん」を接続詞として使います。

用例:雨だけん、傘を持って行かなかった(雨だけど傘を持って行かなかった)

西日本では雨「だから」と順接の言葉になりますが、中野周辺では雨「だけれども」と逆接になるんですね。

静岡県

静岡県の中部地域あたりでも「〜けん」は使われています。
「~だから」という理由だけでなく、「〜だけど」という逆説の意味でも使います。
前後の言葉から「~から」なのか、「~だけど」なのか判断する必要がありますね。

用例①:雨だけん、傘持っていく(雨だから傘を持っていく)
用例②:兄弟だけん、似てにゃあね(兄弟だけど、似てないね)

まとめ

方言「けん」についてご紹介しました。
筆者は中国地方に住んでいますが、ふつうに「これから行くけぇ」や「やけぇ言ったやろ」などを日常的に使っています。

九州の「けん」はよく聞きますが、意味は同じでもまた違う言葉のような気がしていたので、ちょっと不思議な気持ちになりました。
方言は面白いですね。

この記事が少しでも、方言「けん」を知るお役に立てたら幸いです。