扇森稲荷神社は九州三大稲荷のひとつで、通称「こうとうさま」の名で親しまれている神社です。

大分県の南西部に位置する竹田市あり、新年祭や春と秋の大祭には大勢の参拝者で賑わいます。

市内に入って国道57号線を熊本方面に向かうと、右に手に見える大鳥居が目印。その高さなんと17m!九州でもトップクラス、大分県一の高さを誇ります。

この記事では、近年パワースポットとしても知られる扇森稲荷神社について、御朱印やお守り、ご利益やご由緒について紹介していきます。



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扇森稲荷神社のご利益

霊験あらたかな神社として有名な扇森稲荷神社のご利益は、商売繫盛、金運、学業成就、家内安全、交通安全、縁結と多岐にわたり、多くの参拝者の信仰を集めています。

商売繁盛の神様として名が知れていることもあり、神社の参道にはずらりと奉納鳥居が並び、まるで鳥居のトンネルのようです。

扇森稲荷神社のご祭神(ごさいじん)と合祀神(ごうししん)

扇森稲荷神社では、ご祭神と合祀神が祀られています。ご神徳については、神社のホームページでも見ることができますが、拝殿の前に置かれた”しおり”には、より詳しく書かれていました。

おごそかな文体でつづられたご由緒を読んでいると、改めて日々の生活の一つ一つにお陰さまを感じ、感謝の念が湧いてきました。

拝殿で手をあわせ、「頑張ろう!」と気持ちを奮い立たせたり、自分と向き合って心を整えたりすることで、”前に進むことができた”。そんな経験をお持ちの方もおられると思います。

ここでは、扇森稲荷神社のご神徳について簡単にご紹介しますね。

<ご祭神>

◇保食大神(うけもちのおおかみ)
生命、五穀食物、商売繁盛・取引、幸福、漁業繁栄を守り、人々の不浄穢(けが)れを祓(はら)います。

◇猿田彦神(さるたひこのみこと)
悪を防ぎ、道の神として運命を開こうとする努力を守ります。
交通安全の守護ともされています。

◇大宮女命(おおみやのめのみこと)
神楽によって人の心をやわらげて調和を保ちます。
また、 出入りする人をよく見極めて守るということで商売繁盛や接客業の守護でもあります。

<合祀神>

◇菅原神
学問文学の成就。厄除け。
至誠(しせい:とても誠実であること)の神でもあるので、合格に向けた学業を成す勤勉努力も守ります。

◇高龗神(たかおかみのかみ)
天候を司り、農業を守る水の神です。

御朱印・お札・奉納・ご祈願について

すべて社務所が受付となっていて、毎日朝8時から夕方4時まで対応していただけます。

受付けの方のお話では、「4時には閉めるので早めにお越しください」とのことでした。

また、御祈祷の予約受け付けは平日となっています。前日まで、結婚式の場合は10日前までの予約が必要となりますので、事前にお問い合わせくださいね。

TEL: 0974-63-1588

◇御朱印 300円

 

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◇御朱印帳 1500円

出典:扇森稲荷神社公式HP

社号の”扇”にちなんで、紫と金の糸で刺繍された扇が舞う上品なデザインですね。

◇お札・お守 700円

御札:家内安全、商売、開運、病災、厄災、漁業、牛馬の守護
御守:安産、御守、金守、長寿壮健、縁結び、学業、合格、交通安全

◇その他

祈願板(絵馬)、大熊手、小熊手、破魔弓、破魔矢、鏑矢、福俵、スタンド扇

・鳥居の奉納 鉄製1本55000円
・神楽奉納 5000円
・御祈願
商売繁盛、会社繁盛、五穀豊穣、漁業繁盛、家内安全、縁結祈願、子宝祈願、安産祈願、交通安全、車清め祓、海上安全、学業成就、入試合格、病災退除、病気平癒。
厄祓い、初宮参り、七五三、成人式、結婚式

日曜日の午後に訪れたのですが、初詣の賑わいとは打って変わって静かな拝殿が新鮮でした。
ゆったりと手をあわせていると、心が落ち着き、背筋も伸びて清々しい気持ちになりました。

返納所はどこ?

こちらが、古くなったお札やお守をお返しする返納所です。
拝殿に向かって右側の奥にあります。大きな案内板が目につくので、すぐにわかりますよ。

大祭と神楽

扇森稲荷神社で年中行事として行われる祭りは、新年祭(初詣)、初午祭、秋季大祭です。

新年祭は正月三が日、初午大祭は旧暦の2月初めの午の日、秋季大祭は10月の第一日曜日となっていて、詳細はこちらでご覧いただけます。
扇森稲荷神社年中行事

本殿の手前に立派な神楽殿があります

 

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大祭では地元竹田の城原神楽が奉納され、多くの神楽ファンが毎年楽しみにしています。

私も、「ドンドンドン、チキチンチン、ピロリ~♪」と太鼓や鐘、横笛の音が聞こえてくるとワクワクしてきます。

演目それぞれ見ごたえがありますが、中でも荒神が登場して勇壮に舞う姿は、思わず足を止めて見入ってしまいます。

荒神と柴を引きあったり、荒神に赤ちゃんを抱いてもらって健やかな成長を願う様子は、昔と変わらぬ光景です。懐かしさと、平穏に感謝する思いが湧いてきます。

扇森稲荷神社のご由緒と「こうとうさま」の由縁

 

ご由緒から、扇森稲荷神社が岡藩主「中川家」と縁が深い神社であることがわかります。

稲荷神社として祀られるようになったのは1616年(元和2年)。

岡藩の2代目藩主中川 久盛(なかがわ ひさもり)が江戸に上る際に、不思議な妖怪のお陰で難をのがれます。「これは日ごろ信仰している伏見稲荷大神のご加護に違いない」と、城に戻ったのちに社殿をつくり、伏見稲荷大神のご神霊を迎えて「稲荷神社」としたことに始まります。

また、1840年に12代藩主となった中川久昭(なかがわ ひさあき)が、神霊「狐頭現大夫」の夢のお告げによって事なきを得たお礼として稲荷神社に参拝。この地に立って見た風景が、”扇を開いたように見えた”ことから「扇の森稲荷神社」の社号を奉納したと伝えられています。

社号由来の地

ここから見た現在の風景がこちらになります。扇が開いたように見えますでしょうか?

また、「こうとうさま」の呼び名の由来とされる”老婆と狐”の伝説も紹介されています。

伝説によると、若い娘の頼みでお産の手伝いに行った老婆に、翌日お礼の鯛が届きます。その鯛が中川公への献上品であったことから、老婆は盗人の疑いをかけられ打ち首にされてしまいます。ところが、亡骸を見るとそれは老婆ではなく狐。実は老婆が助けた若い娘は狐で、老婆の身代わりになっていたのでした。

この白狐の頭を埋めたことから”狐頭原(こうとうばる)”と呼ばれるようになり、狐頭様(こうとうさま)といわれるようになったという説が一般的です。

ですが、扇森稲荷神社に縁のある史跡では、”狐頭”のほかにも”狐等”、”幸藤”という漢字が使われていることが確認されています。

このことから、「こうとうさま」への人々の信仰は、史実として記録されているよりもはるか昔からあったものと考えられています。

扇森稲荷神社のアクセスと駐車場

<地図>

所在地:〒878-0025 大分県竹田市拝田原
電話番号:0974-63-1588
社務所対応時間:8:00-16:00
(16時には締まりますので、御用のある方は時間に余裕をもってお出かけください)
公式サイト:扇森稲荷神社公式HP
駐車場:200台(無料)

東九州自動車道の竹田ICから車でおよそ10分。国道57号線沿いの”ホームワイド竹田”のそばに入口の看板が出ています。

国道から脇道に入って大鳥居をくぐるとすぐ左手に大駐車場があります。特に行事がない時はそのまま直進して、百段階段に向かって右手にある裏参道入口から拝殿横の駐車場へ行くこともできます。

左:大駐車場に車をとめて百段階段を上って本殿へ
右:裏参道を通って拝殿そばの駐車場へ

まとめ

扇森稲荷神社についてご紹介しました。

「こうとうさま」といえば、子どものころ大晦日の夜中に出かけていた初詣が思い出です。

奉納神楽のお囃子の音に励まされつつ、息を切らしながら100段階段を上って拝殿へ。
広場はすでに参拝者で埋め尽くされていて、横一列ごとに並んでお参りの順番を待ちました。
参拝を終え、お札を買い、熱々の甘酒で体を温めてしばし神楽見物をするのが楽しみでした。

全国各地にある稲荷神社ですが、扇森稲荷神社の案内によると、稲荷信仰には「ムスビ」信仰があるそうです。

ムスビとは「結びつくことによって神霊の力が生み出されること」と解釈されています。

単なる神頼みではなく、「神とつながり、その力を得てよりよく生きていきたい」という願いと感謝が込められた深い信仰があるのですね。

ぜひ、城下町の風情を残す竹田市にお越しいただき、扇森稲荷神社にご参拝いただければと思います。


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