今回ご紹介したいのは富山県高岡市の越中國一ノ宮「気多神社(けた じんじゃ)」について。理由は一番最近行った印象深い神社だったからだ。

・・・一足踏み入れれば、静けさに溶け込む。

古き良き日本を知りたくて、そこに行き着いた・・

そんな大層なことではないけれど、ふとした瞬間に行ってみたくなる神社仏閣。
自分の肌に合う場所が見つかると、なんとなく心地よく嬉しくなる。

記憶に新しいちょうど新芽の育つ春先。
感じた空気感が伝わればと思いながら。

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・富山のイメージ
・一の宮 気多神社について
・実際に気多神社に参拝してみて

という流れで進めていこうと思う。

・私の富山のイメージ

「富山県」と聞いて、自分が昔からいつも一番に浮かんでいたのは「富山の薬売り」だった。冬は雪深い印象もある。また観光地と言えば、有名どころは黒部ダムや合掌造りが浮かぶ。

富山の合掌造りは行ったことがあるが、観光バスを利用したため土地勘があまりない。とはいえ、あの場所も火気厳禁を守りながら、自然あふれる古き良き日本を受け継ぐ良き場所だった。

この度気持ち新たに訪れてみて、富山のイメージがくっきりと明確になった。
春先で風が冷たく少し肌寒かったのだが、透き通るように爽やかな空気だった。

また富山は海の幸が豊富!!白エビをはじめとする新鮮な魚介は視覚も味覚も楽しませてくれた。季節ものもあり、冬は寒ブリ、冬から春にかけてホタルイカが旬だ。何気にホタルイカを1番期待して行ったが、少し時期がずれてしまい、料理ではあまり見かけなかった。(お土産として購入したので満足だ)

余談だが、富山には「イカの黒作り」というのがあり、イカの塩辛にイカスミを混ぜたような珍味がある。それは一般的にもおつまみとして食べられるものと聞いていたので、帰る前に町のスーパーに寄って購入したが、ご飯のすすむ美味な一品であった!(機会があればぜひ食べてみてほしい!)

そんな感じで脱線したが、富山は豊富な自然と海の幸のある爽やかな場所だと肌で感じ、私の持っていた富山のイメージが変わった瞬間となった。

一の宮 気多神社について

・一の宮について

一の宮とは、昔の日本の諸国、例えば「大和」とか「尾張」とか。その国の中で一番格式高い神社とされた神社のことを「一の宮」という。そして、他にも二の宮、三の宮、、と続く。
通常一の宮はその国にひとつなのだが、複数ある国もいくつかある。

そしてここ富山県高岡市は昔「越中國」と呼ばれており、そこに鎮座する一番大きな神社が今回の気多神社、ということになる。

・越中國一の宮 気多神社について

気多神社は越中國一の宮で、場所は富山県高岡市にある。
この越中國一の宮も、一の宮が複数ある国の1つで、「気多神社」の他に「雄山神社」、「射水神社」、「高瀬神社」という4つの神社があるのだ。(今回書いてはいないが、射水神社にも立ち寄ることができた!)

伝統としては、毎年4月18日に奉納される「にらみ獅子」が有名。獅子舞といえば素早く動く印象だが、こちらのにらみ獅子は笛や太鼓で舞うが、テンポはそんなに速くないそうだが、とても大きいので迫力満点だ!!私も機会があればぜひ奉納舞の儀をこの目で見てみたいと思う。

・気多神社のご祭神

気になるご祭神。まず主祭神は、
「大己貴命(おおなむちのみこと)」と、そのお妃さまである「奴奈加波比売命(ぬなかわひめのみこと)」を祀られている。

大己貴命は別名、「大国主神(オオクニヌシノカミ)」。こちらの方がよく聞くかもしれない。

ちなみにお妃さまである「奴奈加波比売命」は、「沼河比売命(ヌナカワヒメノミコト)」とも書く。「奴奈加波比売命」は、翡翠(ひすい)を象徴する女神として信仰されている。
翡翠は緑色の天然石で、5月の誕生石でもあるので、多分見かけたことはあるだろう。この「ぬなかわひめのみこと」の「ぬ」に、宝玉という意味があるため、翡翠の神様と言われているらしい。

また配神として、「菊理媛命(くくりひめのみこと)」と「事代主命(ことしろぬしのみこと)」が祀られている。
菊理媛命(くくりひめのみこと)は神話ではイザナギとイザナミの仲を取り持ったとされて縁結びの神さまとして有名だ。境内に祀られている。
事代主命(ことしろぬしのみこと)は大己貴命の子である。神社では親子で祀られている神様も多いが、ここもそのようだ。

気多神社を参拝

氷見線で越中国分駅下車。駅を降りたら素晴らしい絶景が待っていた!!

ここは観光地感がなくて、なかなか穴場だと思う。

はやる気持ちを抑えながら、地面に書いてある「シルバー思いやり」の文字を見ながら進む。まっすぐ行ってもいいし、くねくね曲がっても行ける。私はくねくね民家を通り景色を見ながら行った。普通に歩い20分もかからなかったと思う。

・とやまの名水 気多神社の清泉

実は富山の水はきれいで有名なのだ。このように「とやまの名水」はある一定の基準をみたされた水環境であることを示しており、それがこの気多神社では、手水舎となっている。

こんこんと流れる水音も自然に溶けこんでとても癒される。清泉は神事や禊にも使われると聞いて、空のペットボトルを持参してちゃっかりお水を少しおすそ分けさせていただいた。ちなみにきれいな水だが直接飲むことはできないので、お作法の際は、飲み込まず、口をすすぐだけにしよう。
ちなみに手水舎は境内ではなく、階段下の駐車場の隣にあるので鳥居をくぐる前に探してみてほしい。

・鳥居のしめ縄がお洒落

まずは見ていただきたい。この立派なしめ縄を!!この地域でいくつか神社を巡ったり見かけたが、このタイプのしめ縄がほとんどだったのが不思議で目に付いた。

気になったので、帰ってからしめ縄の通販などで探してみたところ、「鼓胴型しめ縄(こどうがたしめなわ)」という形に該当すると思う。真ん中が太くて、両端に向かって細くなる型のしめ縄なのだそうだ。
鳥居は神社の玄関のようなもの。真下から見上げるととてもりりしく、ピシッとする。

・ご神木


神社といえばご神木は見逃せないものだ!(見逃すこともあるが・・)神社ととも歩んできた生きた証!年輪が多ければ多いほど歴史を感じる。
階段を上ってさらに階段を上ると向かって左側の狛犬の方に凛とまっすぐ立っている木がこちらのご神木の杉の木だ。

・本殿にて参拝

本殿は国指定重要文化財である。木の香りがしてくるような厳かな佇まいだ。参拝をして、しばらくその空間を楽しむ。風に揺られた木の音と自然の香り。深呼吸をして自分もそこにいるただの生き物としている感覚。これだから自然の多い神社は飽きることがない。

・おみくじを引く

さわやかな気持ちでの参拝後、お賽銭箱の右の方に置いてあるおみくじを見つけた。せっかくなので引いてみる。おみくじ的には申し分ない中吉だった。だが、少し厳しめのお言葉に怖じ気づく(笑)・・しかしながら熟考し、よくよく読めば今必要な言葉だ。神社にきて少し浮かれた気持ちをシャキッとさせ、「今、この言葉をいただけたことに感謝!」とおみくじを結び付けた。

・まさかの神社に空海さん

ここは神社なのだが、「御宝物額」として空海(弘法大師)の書、真筆が見られる!

少し遠くにあるのでうまく撮れていないが手を伸ばして撮影。

空海が書いた「一宮」の文字。とても力強い文字だ。まさにここが昔からこの地域の一の宮として大切にされていたことが分かる。

・大伴神社

本殿の左側に小さな神社があり、「大伴家持(おおとものやかもち)」が祀られている。
小倉百人一首では6番目
「かささぎの 渡せる橋に おく霜の 白きを見れば 夜ぞ更けにける」
を歌った「中納言家持」のことだ。
ここの神社は境内にあって小さいのだが、狛犬が2組いて、とても密度の高い場所だ。狛犬も愛嬌があってそれぞれ表情が違うのでぜひ見てほしいと思う。

・越中総社跡伝承地

この場所は境内にある神馬の像の横にあるのだが、越中総社の社がここにあったそうだ。

少し雨が降ったり止んだりの湿度高い日だったので、緑の匂いとその湿気が逆に幻想的でまるで森の中に来たような状態に加え、中には入れないので、そこは荒らされることなく、小さな小花もたくさん咲いていて、本殿のある場所とはまた異なった空気感でまさに「神聖」な雰囲気の場所だった。

・その先にも山が広がる

ちなみに私も行くまでは知らなかったのだが、この先の山があり「仏舎利塔・平和の鐘 2.5km 50分」と書いてある看板があった。今回は時間がなくて断念したが、機会があれば登ってみたい!

・御朱印の場所

ここは御朱印あるあるの1つ、通常は無人の神社だ。御朱印自体は神社の境内にはないのでご注意を。
先ほどの手水舎の少し手前に「気多神社 社務所」の看板があり階段があるのでその階段を登りきると建物がある。建物右側の受付の引き戸を開けると、そこにストックされた御朱印があるのだ。
無人なので日にちは「吉日」で統一されているものの、一枚一枚丁寧に書かれており、さらに御朱印帳のサイズに合わせて大小あるのでお好きな方を選べる。文字もとても丁寧な字で書いてあった。

そこでお布施を箱に入れるので、ぜひお賽銭用と御朱印用、またおみくじ用に小銭は持って行くと良いだろう。
御朱印は無くならないうちに、忘れずにもらいたいものだが、まずはゆっくり参拝してこの場を味わってからの方がより有り難みが増したので、よろしければお参りを済ませてからをお勧めしたい。
無人ということで今回はお守りは購入できなかったが、お守り以上の満足感や爽やかさ癒しをいただいた。

・アクセス

〒933-0116 富山県高岡市伏木一宮1丁目10-1 
越中國一宮 氣多神社
電話:0766-44-1836
(富山県高岡市伏木一宮 重要文化財 氣多神社 ホームページより)

氷見線の越中国分駅で下車
後ろ側の出口から出て徒歩約15-20分

・富山を後にして

いくつか一の宮は巡ってきたが、こちらもまた来てみたいと思わせる良い場所であった。
また今回は春先に行ったが夏や秋、雪にも慣れているのであれば雪景色なども見てみたいと思ってしまった。
思ったほど参拝客も多くはなく、静寂に包まれた雰囲気が保たれているくらいなので落ち着いてゆっくり参拝できたのも良かった。
おいしいものも食べて、厳かな気持ちを味わいにまた行ってみようと思う。

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