シャベルとスコップってどう違う?この問題が今週(2021年6月11日)のNHKテレビ番組『チコちゃんに叱られる!』で取り上げられました。
チコちゃんが教えてくれた問題と答えはこちら!


問題:シャベルとスコップの違いって何?
答え:足をかけるところがついているのがついているのがシャベル。ついていないのがスコップ


あれ?シャベルとスコップの違いってそういうことなの?と思われた方がいらっしゃるかもしれませんね。そうなんです。実は正解がありながらも、シャベルとスコップは人によって呼び方が違い、いまだに統一されていないんです。ある人がシャベルと呼ぶ同じものを別の人はスコップと呼ぶ。そんなことが日本全国で起こっています。不思議ですよね。この記事ではなぜ「シャベル」と「スコップ」の呼び方が人によって違うのかを徹底解説しちゃいますね!

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「シャベル」と「スコップ」呼び名の謎を探る

JIS規格が正解なのだけれど・・・

シャベルとスコップってなにが違うの?
番組の中で、大阪大学 名誉教授で日本語学者でいらっしゃる真田信治(さなだしんじ)先生が回答されていました。
それによりますと、足をかけるところがあるのがシャベルで、かけるところが無いのがスコップであると日本産業規格「JIS」が正式に決めたのだそうです。


足をかける方は、「掘る」ことが目的でシャベル。
足をかけない方は、「すくう」ことが目的でスコップ。


柄の長短や先端の形は問われません。
足をかける or かけないの違いだけで、シャベルとスコップを区別するのですね。
わかりやすい基準です。


ちなみに、小さいタイプの方にはJIS規格はありません。そこで、解説をされていた真田先生に小さい方は何と呼ぶか尋ねました。すると「シャベル」だとおっしゃいます。
あれ?たった今、足をかけられないのはスコップというお話ではありませんでした?
しかも「小さい方をシャベルと呼ぶのだから大きい方はスコップです」と続きます。
さらに真田先生は、富山出身の自分だけでなく東京出身の学生達も同じように足をかけるところがある方を「スコップ」と呼ぶのに、大学の地元である大阪出身の学生達は同じものを「シャベル」と呼ぶことにビックリしたとおっしゃるのです。


もしかして日本の東西で呼び方が違ってる??


どういうことだろうと、広辞苑やほかの国語辞典を何種類か引いてみました。
すると今度は、どの辞書も「シャベル」「スコップ」両方の説明文に、「掘削する」「すくう」「シャベル」「スコップ」の単語がぜんぶ載っていたのです!
つまり、辞書曰くどちらの道具もシャベルでありスコップであり、掘るしすくうし便利だな、と。
ええっ!?なんだか混乱してきましたよ!?

「シャベル」「スコップ」の分布を調査する!

ここでNHKは、ご多忙の真田先生に代わり、オンラインで様々な人にインタビューを試みました。
まずは東京を中心に関東在住の人々に尋ねると・・・


大きい方をシャベル、小さい方をスコップと呼ぶ人々。
大きい方をスコップ、小さい方をシャベルと呼ぶ人々。
両方ともシャベル、と答える人々。
両方ともスコップ、と答える人々、etc。
それぞれの人によって呼び方はまったくバラバラでした。


日本全国こんな状態なのかと、次に西日本で同じ調査をしてみると、結果はまったく別。


大阪ではほぼ100%で、大きい方がシャベル、小さい方がスコップ。
名古屋から沖縄までの西日本全域でもほぼ90%以上がやはり、大きい方がシャベル、小さい方がスコップと答えました。


では北陸から北日本にかけてはどうかというと。
これが西日本とは真逆。


84%の人々が、大きい方をスコップ。
75%の人々が、小さい方をシャベル、と呼んでいます。


東京とその周辺で呼び方が混乱している以外は、西と北でくっきり反対の呼び方をしているという結果になりました。

雪をすくう必要があるかないか

真田先生の推測では、やはり雪が降る土地かそうでないかが大きいのではないかということです。
冬に降雪のある土地では、雪かきは毎日の大仕事。
雪を「すくう」道具をスコップと呼ぶようになったと考えられます。


一方、雪かきをすることがあまりない西日本では、大きい方の道具はおもに土などを「掘る」ことに使われるのでシャベルと呼ばれるようになったのですね。


ではなぜ関東では呼び方がバラバラなのでしょうか。
おそらく以前は関東でも雪が降らないので西日本と同じ呼び方だったはずなのです。
けれど戦後、東京を中心に関東地方に東北からの人の流入が激しくなった時期があり、人々の話す言葉も強く影響を受けたのではないかと考えられます。
 

まとめ

同じ道具が西日本とは正反対の呼び方になってしまうほど、北日本では冬の降雪が暮らしに強烈な影響を与えているのですね!ものの名前の歴史って面白いです。
西の人は北へ、北の人は西へ行く機会があったら、そんな言葉の違いを集めてみると楽しそうですね!