21世紀に生まれた「光と影の世界」。

沸沸と何かが湧き上がる気持ち。
ひとりでついニヤニヤしてしまう時(笑)

「やっとできるようなったー!!」
逆上がりができた時?
二重跳びがやっと一回跳べるようになった時。

大切な人に会えた時。

思ってもみなかった、
とても嬉しい言葉を言ってもらえた時。
・・そんな風に感じた時でしょうか。

「よろこぶ」ということは。

スポンサーリンク

・「よろこぶ」ということ

嬉しいとか、楽しいとかは良く使ったりする言葉ですが、「よろこぶ」と、改めて言われるとあれ?どんな感情が湧くものなのか、自分の中を改めて探って見てしまいます。
弾むような気持ちかもしれないし、静かな中にフツフツと湧き上がるような何かが込み上げてくる気持ちかもしれないし。
「喜んでたよ」とか、客観的に使うもののようにも思うし
文章で書く時は「喜んだ」と、使うことは出来る。

わたしの「よろこび」はどこにあるのだろう。
そんな風に考えながら改めてこの本の帯を読んでみます

・「この地球に生きるよろこびを描く」

藤城清治さんの作品にはよろこびもたくさんあります。
「よろこび」は何も特別な時に使うものではありません。思った時に、使いたい時にいつだって使ってしまえば良いのだと思います。

この本は21世紀に作られた作品もたくさん載っておりまして、今回は2001年以降に産み出された作品を中心に見ていきながら「よろこび」についても考えたいなと思います。

ちなみに前回、前々回はこちら
藤城清治【光と影の世界(本)】①白黒編
藤城清治【光と影の世界(本)】②色彩編

前回前々回とこの本を読み進めているのですが、今まで見てきた作品ももちろんですが21世紀の作品は、また一味違います!

年々培い磨き上げられた思考や技術が、作品の表現力となって凄みがどんどん増して、より神秘的な作品が出てきます。また作品自体も大きなものもたくさんありますね!

ちなみにこの本は2012年に出版されているのですが、そのちょうど一年前の2011年は東日本の大震災があった年でした。
私も大きく揺れる大地に恐怖を感じました。まさに大きな自然の力を前にした人間はあまりに非力で小さな存在だと実感するものでした。そして、それでも自然は素晴らしく、またその小さな存在の人間一人一人の命の重みは今まで以上に響く出来事となりました。

その時、誰もが何か出来ることはないかと、一度は考えたのではないでしょうか。
私もそれを考えた一人ではありましたが、それに向き合うには自分はあまりに弱かったように思います。

その時、藤城清治さんは、すぐに被災地に行ってもデッサンは直接復興に役立てないからと自重していたそうですが、表現者として、何かを伝えられる行動を取られました。

「日本を根底からゆり動かし、地球やあらゆる生命をおびやかす事態が起こっているときに、地球を愛し、自然を愛し、生きる喜びを訴えて絵を描いているぼくが、ただ自重し傍観していいのだろうかと思うようになった。いま現在、地球上に自分が生きているならば、自分なりに何をするべきか考えて、積極的に事態にとびこんで行動すべきだと思うようになった。」(『光と影の世界』80頁抜粋)