魔人探偵脳嚙ネウロや暗殺教室を描いた松井優征(まついゆうせい)先生の新連載、【逃げ上手の若君】がはじまりました。主人公の北条時行は史実では3度鎌倉を奪還したあと、とらわれ処刑されたとあります。最後は死んでしまうんですね…。では死に至るまでどのような道を歩んでいくのかみていきましょう。
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【北条時行(ほうじょうときゆき)の最後は死!】
【出典:松井優征『逃げ上手の若君』集英社 週刊少年ジャンプ16号第9話】
北条時行は鎌倉幕府最後の執権、得宗(とくそう)北条高時の二男です。兄の邦時がいますが、邦時は側室の子なので後を継ぐのは時行とされていました。
邦時は高氏らが反乱を起こしたときに殺されてしまいます。作品では時行が8歳の時に一族を殺されていますが、考えるととてもつらいですよね。信頼していた家臣に裏切られ、親、兄弟、一族皆殺しにされるなんて今の時代では想像もつきません。
時行は諏訪に落ち延びますがその二年後、諏訪頼重らとともに挙兵し鎌倉を奪回します。この反乱を中先代(なかせんだい)の乱といいます。(北条氏を先代(せんだい)、足利氏を当御代(とうみだい)、時行はその中間ということで中先代(なかせんだい)と呼ばれています。)
その戦闘に勝利した時行たちは鎌倉を奪回します。本作で二年後、時行は日本中を震撼させるとありますが、おそらくはこの乱のことをいっているのでしょう。
この中先代の乱は足利高氏によって鎮圧されてしまいますが、足利高氏の室町幕府成立や、南北朝動乱を呼び起こした反乱だったとされています。
現時点では武芸の才もないただ逃げる才があるだけの若君に描かれていますが、中先代の乱の後も2回鎌倉を奪回するなど、とても才ある武士に成長していったに違いありません。今後どのように時行の成長が描かれていくのか興味しんしんです。
3度の反乱はすべて鎮圧され、3度目の反乱ののち時行は鎌倉竜口で処刑されました。
【北条時行の強さは?人物像を解説!】
3度の反乱を起こしたのち時行は処刑されてしまいますが、中先代の乱もふくめて時行は3度の鎌倉奪回を果たします。初回は中先代の乱で、2度目と3度目は後醍醐天皇を帝とする南朝の武将として鎌倉を奪回しています。
後醍醐天皇と足利高氏は鎌倉幕府を滅ぼすさいには協力したもののその後争いが表面化し対立することになります。足利高氏は室町幕府を開き、高氏にやぶれた後醍醐天皇は吉野にのがれ南朝を開き、南北朝時代(なんぼくちょうじだい)が始まります。
北朝から京都を奪還するためにひきいられた北畠顕家(きたばたけあきいえ)の軍に時行は参加します。鎌倉幕府を滅ぼした新田義貞の子義興(よしおき)もおり、この3人の連合軍で鎌倉に攻め入り、2度目の鎌倉奪回をします。
その後北畠顕家とともに京都に向かいますが京都に近づくにつれ敗戦がかさなり、北畠顕家は討死、遠征軍は散り散りになってしまいます。時行はここでも生き残ります。
3度目の鎌倉奪回は10数年後、新田義興とともに鎌倉を攻め、足利基氏を破り鎌倉を奪回します。その後幕府の攻撃を防いだものの最終的には足利勢に制圧されてしまい。とらえられ処刑されます。
しかし反乱を起こし鎮圧されているにもかかわらず、3度目の反乱で処刑されるまで逃げ延びた。ということですよね。
滅びた鎌倉幕府の正統の後継者とあらば足利側の追手も激しかったに違いありません。その中を逃げることができたというのは今作に描かれている逃げ上手に通じるものがあります。
時行一人が逃げ上手なだけではとうてい逃げ延びることはできなかったでしょうから、これから登場してくる仲間や協力者などと共に鎌倉幕府再興のために力を尽くしたのでしょう。
後醍醐天皇の建武の新政や、足利高氏の室町幕府に不満を募らせるものなどが集まり、鎌倉幕府を継承するはずだった時行のもとに反対勢力が集まったのかもしれませんね。
【北条時行の歩み】
【北条時行VS賽の鬼:五大院宗繁(さいのおに:ごだいいんむねしげ)!兄の邦時の敵!!】
【出典:松井優征『逃げ上手の若君』集英社 単行本1巻第2話】
さいしょの敵は諏訪に逃げる途中に出くわした、五大院宗繁です。
宗繁は時行の義理の叔父にあたり、兄の邦時を守る役をしていたにもかかわらず懸賞金目当てで裏切り、敵の武将に邦時の居場所を密告し、邦時は処刑されてしまいます。歴史上でも宗繫は屈指の鬼畜武将と名を残すことになります。実の甥を売るなんてひどい男です。
時行は諏訪頼重から仇を討とうと言われ、宗繫と遭遇するのを待っています。宗繁と出くわした時行は涙を流して演技をしています。宗繫も感心するほどの演技、逃げることにはのちのち役立ちそうです。宗繫に時行の仲間たちが不意打ちをくらわせますが、宗繫にとめられます。宗繫なかなか強い…。
仲間たちは時行を守りながら戦いますがうまくいきません。悪戦苦闘している中、頼重が仲間たちをひかせ時行だけを宗繫と戦わせます。時行は攻撃をすべて見切り、逃げ続けます。捕まれば即死の状況を楽しんでさえいます。
頼重はそんな時行を「天性の逃げ上手」と言います。しかもただ逃げ上手なだけではなく、敵の前からは決して逃げ出さないそんな魅力的な人物だと。
頼重は仲間たちに平和な時は心優しく、戦場では猛者たちと楽しそうに鬼ごっこをするようなそんな主君に仕えたら楽しそうだと言います。頼重の言葉に仲間たちもそんな大将聞いたことがないといいながら、どこか楽しそうです。
仲間たちは時行を護るのではなく、時行の逃げ上手を信頼し時行が宗繫に攻めるチャンスを作ってあげなさいと助言をし再度宗繫と時行のもとに向かわせます。
いっぽう攻撃をよけられ続けている宗繫はいらだちながら、恐れをいだきます。このまま時行に逃げ続けられながら命を狙われたら…と。
たしかにこちらが追っても逃げられ、殺すこともできない。そんな相手がずっと命を狙っていると思ったらすごくストレスですよね。いつかスキがあいて殺されちゃうかもと思っても無理はありません。
そこが時行の強みになっていくのかも。仲間たちのサポートもあり、時行は宗繁の首を討ち取ります。兄の仇を討ち取った時行はあらためて鎌倉を奪回することを誓います。
【時行:諏訪にて不信感】
【出典:松井優征『逃げ上手の若君』集英社 単行本1巻第4話】
ぶじ諏訪についた時行一行。頼重は時行にさっそく学問と鍛錬をすすめますがも時行は逃げまくります。
鎌倉奪回誓ったんじゃないのか(;^ω^)
しかし頼重はそれを予想し落とし穴をほりまくって時行を逃がしません。時行は本当にこんなところで鎌倉を奪還する力があるのかとイマイチ頼重を信用できていません。
まぁ生きていた土地を奪われ親も一族も殺されたうえとつぜんあらわれた何者かもわからないものに信じろというほうが無理がありますよね。
不信感ばりばりな時行は頼重にべつに学ぶことなどしなくても戦場で逃げてればいいのだろうと、たとえ敗けていてもといいます。ですが頼重は敗けることなど神に誓ってないといいます。なぜなら自分は神だからと。
時行はあぜんとしていますが、諏訪頼重はその時代の現人神(あらひとがみ)のひとり、諏訪大社の当主であり、武将、そして神という特異な人物であったのです。諏訪明神をその身に宿した現人神として頼重もまた絶大な信仰を集めています。
諏訪明神を信じる者たちがあつまった諏訪神党は頼重への信仰の下、頼重の一声でざっと一万騎が集まる一大集団です。頼重の力のほどを見せられ時行はやっと信じてみようとおもいはじめるのです。
【時行と仲間たちの連携プレー牛鬼:牡丹(うしおに:ぼたん)との戦い】
【出典:松井優征『逃げ上手の若君』集英社 週刊少年ジャンプ12号第5話】
諏訪での生活にも慣れてきたなか、頼重から時行様だけの郎党(ろうとう)を集めようと言われます。郎党とは有力武将と主従関係(しゅうじゅうかんけい)を結び命がけで戦う部下のことだそうです。郎党の強さこそが主君の強さそのものだったと本誌ではあります。
時行は家族・家臣をすべてうしなっているので一から作り直さなければいけないと。わずか8歳の子がするにはとほうもないことですね。
鎌倉から逃げるときに頼重が連れてきた仲間たち。刀の使い手弧次郎(こじろう)、怪力無双亜矢子(あやこ)、よく気が回り、秘術も使える頼重の娘雫(しずく)を執事として。まずは彼らと信頼関係を築くことが強い郎党を作る第一歩。ちなみに時行を含めて全員同い年です。みんな8歳…。その時代は8歳で自分の意志で生きていかなければならない時代だったのですね。
さて仲間たちは時行が命令されすればなんでも従うといいます。時行は鬼ごっこをしようと提案しますがそくざに却下されます(笑)
いろいろな提案がされますが、最終的に狩りをすることになりました。狩りをしていくなか、とてつもなく巨大な獣に遭遇します。
隣国で噂になっていたという、人をも喰らう魔獣、牛鬼「牡丹(ぼたん)」超大きな獣です。みんなで弓を打っても全然こうかありません。いったんみなで逃げますが雫が木の上から倒せるといいます。時行に逃げながら牡丹を丘の上まで連れていってといいます。
そこで亜矢子と弧次郎はなにかに気づきます。主君をおとりに使う。普通に考えたらありえないのでしょうけど、時行の逃げ上手を信頼してのことでしょう(笑)
時行は期待通り、神回避を連発します。亜矢子はなにか石に細工をし、弧次郎は弓を操作し牡丹を木のところまで連れてきたあと猛進してくる牡丹を避け崖の下に落とします。その下には亜矢子が細工した黒曜石の鋭くとがった岩のかたまりがありました。雫の指示と3人の連携プレーでみごと魔獣牡丹を倒します。強い郎党をつくる始まりのエピソードですね。
【最終回の予想考察・感想 】
「逃げ上手の若君」まだはじまったばかりですがとてもおもしろいです。
歴史上では英雄のはずの足利高氏が最大の敵とういうことでまずびっくり!武士の時代に「逃げる」のが得意な主人公。もうこれだけでこれからの展開がまったく読めません。
主人公を導く諏訪頼重という人物はどのような人物だったのか、どんな人たちがこれから仲間になっていくのかこれからが本当に楽しみです。足利側の敵将たちもとても個性的でどう戦っていくのかも気になります。
最終回はやはり時行が二年後日本中を震撼させた事件で終わりでしょうか。この事件が中先代の乱だとすると、鎌倉を奪還するものの、わずか20日で足利高氏の軍に敗北し、諏訪頼重は自害してしまいますが、時行は落ち延びます。
個人的には、鎌倉奪還の道は続く!で逃げて終わりになってほしいです。まだまだこれからどんな展開になっていくのか楽しみですね。