島根県津和野町(つわのまち)にある太皷谷稲成神社(たいこだにいなりじんじゃ)は、「いなり」を「稲成」と書く全国でただひとつの神社で、日本五大稲荷のひとつです。

毎年初詣には県内外からたいへん多くの参拝客が訪れる、島根県内では出雲大社に次いで参拝客が多い神社として知られています。

目を引くのは表参道に連なる華やかな千本鳥居。
国道9号線からでも山の中腹に鳥居の鮮やかな朱色が浮かびあがって見え、津和野の町の景観に美しい彩りを添えています。

この記事では太皷谷稲成神社のご利益やご由緒、御朱印の受付時間や駐車場などについてご紹介します。



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太皷谷稲成神社はどこにある?

太皷谷稲成神社がある津和野町は、山口県との県境にある県西部の町です。
津和野町は山あいの盆地で、かつての城下町の佇まいを残した町並みが広がることから、山陰の小京都と呼ばれています。

太皷谷稲成神社があるのは、町を見下ろす山の中腹。
かつて山に築城されていた津和野城の鬼門にあたる、北東の方角に建てられました。

所在地:島根県鹿足郡津和野町後田409
問い合わせ先:0856-72-0219
御祈願受付時間:社務所にて9時~16時
公式サイト:太皷谷稲成神社



アクセス

山口線津和野駅から神社までは徒歩およそ30分。千本鳥居の入り口までは1キロ程度で10~15分程度です。
駅前にはレンタサイクルがあるので、そちらを利用してもよいですね。

車では中国自動車道小郡ICから約1時間10分、六日市ICからは約1時間です。

津和野は内陸の山あいにあるため、冬は積雪のため道路が凍結します。今年のお正月もかなりの積雪でした。

津和野周辺の道路や国道の混雑、凍結状況は、太皷谷稲成神社公式サイト内の道路状況ライブカメラで確認することができます。冬場は事前にライブカメラで確認の上、参拝されると安心ですね。

駐車場

およそ100台駐車できる無料の大駐車場が、神社の本殿すぐ下に用意されています。

表参道から参拝すると千本鳥居の石段263段を登ることになりますので、足腰が弱い方や小さなお子さんがおられる方は、表参道からではなくこちらの駐車場を利用したほうが参拝しやすいですね。

そのほか津和野城跡への観光リフト前に、30台程度停められる無料駐車場があります。

また初詣時期には神社まで徒歩10分ぐらいの場所に、専用の大型専用駐車場が用意されます。

太皷谷稲成神社とはどんな神社?

ご由緒は?

安永2年(1773年)、津和野藩7代藩主亀井矩貞(かめいのりさだ)公が藩の領民の安定した穏やかな生活を願って、京都の伏見稲荷大社から勧請(かんじょう:神仏の分霊を招き迎えること)を受けたのが始まりです。

創建以来、藩主亀井家の祈願所として藩主以外の参拝は禁止されていましたが、廃藩ののちは誰もが参拝できる神社になりました。

ご利益は?お稲成さまは失せ物発見の神さま

御祭神は、稲成大神である宇迦之御魂神(うがのみたまのかみ)と、国造りの神である熊野大神・伊弉冉尊(いざなみのみこと)。
商売繁盛や五穀豊穣、失物、願望成就、開運などたくさんのご神徳があります。

中でも失物のご神徳とは珍しいですよね。

太皷谷稲成神社が「いなり」を「稲成」と書くようになったのは、神社に祈願することで失くしたものが出てきたことに由来すると言われています。

勧請したばかりの頃、お城の蔵番の男が大事な蔵の鍵を失くしてしまいました。
どこを探しても出てこず、お殿様にその旨を伝えたところ、「7日のうちに探し出さないと捨ておかん」と非常にお怒りに。

焦った蔵番は、藩主しか参拝が許されていなかった勧請したばかりのお稲荷さまに内緒で参拝し、7日間願をかけ続けました。
すると7日目の朝、必死で探したのに出てこなかった鍵が見つかったのです。

蔵番はお殿様に、厳罰を覚悟で事の次第を包み隠さず話しました。
するとお殿様は蔵番を許し、お稲荷さまの願望成就のご神徳が高いことに驚かれました。

それからお稲荷さまは願望成就の「成」をとって、「稲成」神社と称されるようになったとのことです。

はっきりとした証拠は残っていませんが、津和野では代々人から人へ語り継がれているそうですよ。

御朱印の受付時間は?

太皷谷稲成神社の御朱印の受付時間は、9時から16時です。

通常御朱印に加え、初詣や七夕、季節によるものや石見神楽の定期公演限定御朱印などなど、さまざまな限定御朱印を頒布しています。

また、神社オリジナルの御朱印帳も用意されています。
嬉しいことに、御朱印帳は郵送でも販売されているとのこと。
とても素敵な御朱印帳ですので、お取り寄せしてみてはいかがでしょうか。

郵送の際の詳細は、公式サイトの授与品等のページからご覧いただけます。

※郵送による御朱印帳に御朱印は記帳していません。


こちらは縦18センチ、横12センチ。通常よりも少し大きめサイズなのだそうです。

そのほか、木製の御朱印帳(縦16センチ横11センチ、2200円)や、オリジナル御朱印帳袋(巾着型、1500円)も。

遠方の方や直接の参拝が難しい方には、お札や御守も郵送対応をしてくださるようです。
くわしくは神社にお問い合わせください。

おもしろい独自の参拝作法

お供えはお揚げ!


太皷谷稲荷神社では、油揚げとローソクをお供えする習慣があります。
お稲荷さまといえば油揚げですが、実際に参拝客が油揚げをお供えする神社は珍しいですよね!

油揚げとローソク、マッチがセットになって、境内駐車場の手水舎前と売店で頒布しています。

まずローソクに火をつけ、油揚げをお供え。そして二礼二拍手一礼の作法でお参りします。

手に油がつくのでウェットティッシュを持っておいたほうがよいという方もいらっしゃいましたよ。

独自の四ヶ所参り

ふつうにお参りすると新殿(拝殿)だけ参拝する方が多いですよね。

太皷谷稲成神社には独自に、新殿と合わせて境内の四ヶ所お参りする習わしがあります。
これは「四ヶ所参り」と言われていて、元宮、命婦社、新殿、新殿裏奉拝所の順で参拝するものです。

元宮は大正12年に建てられた旧社殿。
その奥にある命婦社は、稲成大神の御眷属(お使いのお社)なのだとか。太皷谷稲成神社の命婦社は、京都の伏見稲成大社につながっているといういわれがあるそうですよ。

稲荷信仰では、ご祭神は拝殿の後ろから出入りされているとの言い伝えが残っています。
そのため新殿の裏側にある新殿裏奉拝所は、稲成大神を最も近い場所からお参りできる場所です。

どの参拝所もたいへん神聖な参拝所。それぞれに油揚げをお供えする献供台とローソク台がありますので、すべての参拝所で油揚げをお供えしたいですね。

四ヶ所参りの御朱印もありますので、ぜひ心静かに四ヶ所参拝されてくださいませ。

まとめ

島根県津和野町にある太皷谷稲荷神社をご紹介しました。
津和野は箱庭のように美しい町といわれ、晩秋には気候条件が合えば雲海も見られます。

そんな素晴らしい場所にあり、願望成就や失物などたくさんのご神徳がある太皷谷神社。
ぜひ、津和野散策もかねてご参拝ください。
神社から見渡す津和野の町はとても素晴らしいですよ。