なんでもそうですが、展覧会で作品の前に立った時にすることはまず、パッと見た時の自分がどう感じたかを楽しみます。

好き? 嫌い? 面白い? なんだこれ? とにかくすごい?!

それは、趣味ながらもたくさん美術館に行って絵を見てきましたが、実際にその作品に対面して見ないと、その作品自体の全体の雰囲気や本当の目で見た色と陰影、絵から出る「圧」みたいなものは写真からは100%は伝わらず、本物をみないとわからないからです。

スポンサーリンク

藤城清治さんの影絵は特にそれを感じます。写真でももちろん素晴らしいのですが、本物は貼っているシートの重なり、細かい削れ具合、その重なったシートの厚さによる微妙な影による陰影。
さらに本物は光を用いた作品が多いので、その場丸ごと作品が空間になるのでまた一味違うのです。

このカーブはどうなっているのだろう。この部分は何枚シートを使っているのだろう。
指先の勢いが伝わってくる作品。

そこにその絵の解説を知ることで、画家の意図することが予備知識として加わり、よりイメージが立体的になってきます。

改めてその辺りのこともを楽しみにしながら、今年もまたサイン会の日に合わせて展覧会での作品と藤城清治さんを一目見ようと朝から出かけることにしました。

☆初めてサイン会に行ったときのお話はこちら

・2018年影絵展「光と影の生きる喜び展」の様子

今年も銀座 教文館の9Fウェンライトホールで
2018/8/10~10/10までの予定で影絵展、開催されています!
(入場料:一般1200円 中学生以下800円)

展覧会は10:30から、サイン会の整理券配布は11:30から。
サイン会は先着100名となります。

サイン会の整理券を貰うには、展示会を観覧した当日券の半券と4F(エインカレム)にグッズが売っているのですが、そこで対象商品を購入してから・・と、なるので、展覧会も集中して凝縮して見ないと整理券がもらえない可能性もありますので、今年もそわそわしながら(笑)
まずは全部見られないと悲しいので、全体をざっと拝見してからひとつひとつ見ていくことにしました。

作品は過去の作品のものもあれば今年作成されたものもいくつかありました。

・光の想い熊本城

今回も平和を意識された作品もありましたが中でも、やはり2018年作の震災後の熊本城の作品が印象的でした。


(2018年影絵展「光と影の生きる喜び展」・「光の想い 熊本城 2018」)

この写真のような写実的な捉え方は、近くに行ってみても頭が「?」となるほど本物のようです。
そして、熊本城のぎりぎりで支えられている石垣の向こう側の空のオレンジがなんとも切なくもあり希望でもあるように見えます。そこには復興が進められているクレーンのひとつに、こびともいます。
このように、いつでもどこでも小さな希望が持てる前向きな姿勢は、私も大切にしたいなと思いながら、近くに寄ったり離れたりしながら鑑賞しました。

・宮崎空港2019年5月完成予定 影絵のステンドグラス


(2018年影絵展「光と影の生きる喜び展」・「神々の光と国の始まり」より)

2019年5月に藤城清治さんの神々の楽しそうな姿のステンドグラスが宮崎空港に設置されるそうです。20mほどになるそうで、とても大作です!!
その全体像が1/3に縮小された原画がどどーんと飾られていました。

藤城清治さんといえば、どちらかというとキリストなど西洋の神様のイメージも多いですが、今回は日本の神話ということで、これはとても見ごたえがありました!!
宮崎と言えば高千穂峡などがある神々の伝説も多い場所です。観光に来たお客様も空港から雰囲気を楽しめて素敵だなと思います。
このステンドグラスは宮崎県なので「日向神話」を採用されているそうです。
有名どころで天岩戸のお話でしょうか。

(2018年影絵展「光と影の生きる喜び展」より)

中央の太陽にいるのは岩戸から出てきた天照大神かな?その前で踊っているのは雨細女命かな?
神話から登場人物をステンドグラスに想像しながら、とても賑やかな日本の神様たちを眺めていました。

ちなみにこのように大きな作品を作成する際、まずは小さなレプリカを創りますが、いろいろな縮尺を試したうえで、今回ここに飾られている1/3の作品は藤城清治さんがご自身で切り抜いた原画だそうです。1/3とはいえ、ここでもとても大きな作品として存在感を出していました。

今、電球に照らされているだけでもとても美しいですが、これがステンドグラスとなると、外からの光が光源となります。毎日時間によっても光の量や角度、光の差し込み具合によるガラスの反射は想像以上にきれいなのでしょうね。毎回いろんな作品の表情を見せてくれるのだろうと思うと、私はまだ九州に行ったことはありませんが、いつかは行ってみたいと思います。(太陽の位置が分かりませんが、個人的には午前中と夕方光の筋が伸びる頃に行ってみたいです)

・君の瞳はバラのように美しい

(2018年影絵展「光と影の生きる喜び展」・「君の瞳はバラのように美しい2018」)

これは女優さんである八千草薫さんからいただいた花束をかいたものだそうです。
とてもやさしい雰囲気で後ろに隠れいている子猫がまた愛らしいです。
よく見てみると、、

(2018年影絵展「光と影の生きる喜び展」より)

この額縁も藤城清治さんが彫刻刀で掘って作成されたそうです。
絵はもちろん作品ですが、壁にかけて展示するときは額縁も含めて作品になります。

派手すぎないシンプルだけどこだわりの模様のある額縁は、この作品にもぴったりで、とても癒されるなぁと、見せていただきました。

他にもアッシジの聖フランシスコの大きな原画や、新しくできたラビーカフェのレプリカ、絵本の原画など、魅力的な作品もたくさんありました。じっくり見ながらも、私は名残惜しさにもう一周だけして、ポスターを貰ってその場を後にしました。

・整理券は貰えるか

今までの感触、来場者がいつもより多い気がしましたので、4Fでグッズを購入するのですが、選び方をいつもより迅速にしました(笑)

今回は図録がないので、絵本と本を購入しました。すでに整理券を貰う場所には長い列が!
即、列に並びまして、なんとかサインをいただく権利を得ました! かなりギリギリの番号でした。よかった!!
サイン会は13:30から。
余裕が出来たのでもう一度グッズや書籍を落ち着いて見て回ることにしました。

今年は去年私が行った時より、早いうちにサイン会は満員御礼!100枚配られる予定の整理券はあっという間になくなりました。
普段藤城清治さんのホームページもよく見ますが、他でもサイン会はされています。
それでもこのように整理券がすぐになくなってしまうところを見ると、やはりそれだけ魅力的な方ですしそれだけの芸術家なのだなとあらためて実感いたしました。

しかも御年94歳で100名のサインです!本当に有難いことだなと思いながら、サイン会の際渡すコメントを書きました。

・藤城清治さん サイン会会場へ

ちょっとお茶を嗜み、気合を入れてサイン会に向かいます。(同じ4Fです)13:30からのサイン会。13:15頃行くとすでに長蛇の列が一階まで続いていました!

藤城清治さんが入場する姿は見ることはできませんでしたが、時間が来てすこしずつ前に進み始めました。今回は冷静な気持ちで臨もうとイメージトレーニングです。いままでは感極まってみたりして、冷静に場を味わえる余裕がなかったので(笑)

2F、3Fと少しずつ近づいていきます。4Fに着いて、「今日は大丈夫」でも少しずつ近づいていくとやはりドキドキはしますよね。

今回は「藤城清治 影絵の絵本 グリム」にサインしていただくことにしまして、本を係の方に渡して、次は自分の番・・!!

いつも通りドキドキでしたが、広げられた絵本の内側に文字が一文字ずつ書かれていく様子をいつもよりしっかり眼に焼き付けました。
そしていつもは見れなかった画集にも載っていた剃刀で強くなった手を、じっと見てみました。おお!厚みのある職人のような手だなと、見ることが出来て嬉しくなりました。

そして私のコメントもちょうど読み終えていただいて、、握手をしていただきました!!
ああ。本当に今日は元気にまたお会い出来て良かった!!
感無量の気持ちとなりました。

今年もまた藤城清治さんの作品や思想にふれて、そして我々皆に笑顔をくれて、また日々素直に温かく生きていきたいと思わせていただきました。

・・とはいえ実際にご本人を目の前に握手していただいた直後は、しばらく余韻に浸ってしまい、頭が働かないのは去年も感じたなと思い出しました。
やはり展覧会を見たうえで、藤城清治さんにお会いできる流れが、より作品感や温かいものが伝わりやすいと感じて、とてもありがたいことだなと思います。そしていつもより少し冷静になっていた私は、たぶん今回初めて握手後「ありがとうございました」と伝えることができました♪

他の人は当たり前にできることかもしれませんが、ささやかな自分だけの勇気が出せたこともひとつ、有難い経験にもなったような気がします!

・最後に・・

「最近歳をとってきたから体力が衰えてきて・・」と、年々歳をとればなかなか体が言うことを聞かなくなって行くわけですが、藤城清治さんに会うと、そんなこと言ってる場合じゃない!と言う気持ちにさせられます。
力強い作品をつくることは、体力がないとできないことです。新しい創造を働かせることは常に新しいものに目を向けて興味を持って居続けることができないと枯渇してしまうかもしれません。

でもたぶん、決して難しいことではないのです。
そして年齢は関係ない。「やりたい」「やってみたい」の自分から湧いて出た小さな芽をどれだけ信じられるか、その辺りにかかっているような気もします。
大それたことばかりが成功や幸せとは限らないですし、平和や幸せは案外身近に当たり前にあるかもしれません。

今年2018年の藤城清治さんの影絵展は10/10までです。

私も4年前、たまたまこのような記事をみて行ったのがきっかけで、改めて「影絵」という新しい世界を見にいくことが出来ました。

この記事も、たまたま知り得た私のような方が展覧会に行くきっかけになったら素敵だなとふと思いました。

スポンサーリンク