今まで姫路城についての記事をいくつか書いてきましたが、今回は城内にある「門」について取り上げます。
かつて姫路城には沢山の門がありました。門の歴史を押さえておくことで、姫路城観光もより楽しめます。
その数は80を超えていたと言われていますが、その多くが消失し現存するのは19門です。
(一部消失の門を含めると21門)
同じ門でもそれぞれ造りや用途が異なり、様々な工夫がされています。
知れば知るほど面白い姫路城の門
これを読むと姫路城観光がますます楽しくなりますよ!

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なぜお城には門が必要なのか?

門にはお城の軍事的な役割があって、敵が簡単に進めないように、また攻撃から守るという防御性を高めるために様々な工夫をこらした門がいくつも造られたのです。

姫路城にある門の名前

敷地面積が広い姫路城は当然門の数も多いです。
門の一覧は以下のとおりです。
①菱の門 ②備前門 ③水一門 ④水二門 ⑤水三門 ⑥水四門 ⑦水五門 ⑧水六門 ⑨いの門 ⑩ろの門 ⑪はの門 ⑫にの門 ⑬ほの門 ⑭への門 ⑮との一門 ⑯との二門 ⑰との四門
⑱ちの門 ⑲りの門 ⑳ぬの門 ㉑るの門

漢字の名前やいろはがついた名前と色々ありますね。
大天守に近い場所にある門には「水」という字が使われているのだそうです。
ちなみに、水一門から水四門までは重要文化財に指定されています

城門の種類

どこのお城にある門も基本構造は同じで「鏡柱(かがみはしら)」「冠木(かぶき)」「控柱(ひかえはしら)」「扉」からできていて、この上に載せるものなどで門の形や種類に違いがでてきます。

茶色部分=鏡柱 オレンジ部分=冠木 ピンク部分=控柱

姫路城にある門は以下のように種類分けされます。
〇棟門=水一門・水二門・ちの門
控柱がなく、鏡柱に屋根が載っているだけの簡素な造りの門

〇櫓門=菱の門・はの門・との一門・ぬの門
名前のとおり、基本構造の上に櫓が載っている門
城門の中で最も格式が高いと言われ、防御性もあるため城の正面となる大手門などにこの櫓門が使われます。
城内を見えにくくするために土塁や堀、石垣で枡形を造り、櫓が両脇の石垣に延びるようになっています。
姫路城のぬの門はこの櫓が二重になっている非常に珍しい城門です。

〇高麗門=いの門・ろの門・への門・との二門・との四門・りの門・への門
基本構造の冠木と控柱の上と控柱の小さい屋根をコの字型にした門

〇埋門(うずめもん)=ほの門・水三門・水四門
別名「隠門(かくれもん)」とも言われる小さい門。
土塁や塀、石垣の下部分をくり抜いたように見える門は、石垣で挟んだ基本構造の冠木の上に土塀が造られています。
この門は裏門として使われていました。

〇穴門=るの門
石垣を人が一人通れるくらいの大きさで積んで造られた門。

一言で門と言っても色んな様式があることを初めて知りました。

ぜひ見て欲しい姫路城の門5選!

広い姫路城内ですべての門をみて回るのは時間がかかっちゃうので、ここではぜひ見て欲しい門を5つご紹介します
①菱の門
二の丸へ通じる入り口を固めた菱の門。
先にも書いたように菱の門は櫓門という格式が高い種類の門だけあって、とても立派な造りになっています。
なぜ菱の門というのかというと、冠木に菱の紋が彫られているからです。
安土桃山時代の様式が残った全国でも珍しい城門です。


②ろの門
門に装飾がされている重厚感のある造り。
この装飾は「鉄筋饅頭金物」「八双金物」などで、菱の門やいの門も同じ様式になっています。
この門を敵が攻略するのはそれほど難しくはありませんが、ろの門の東側の土塀に開けられた狭間から矢や鉄砲で防御できる仕組みになっています。


③水一門
大天守に行く最後の門がこの水一門です。
敵から見るとこの門は右斜め後ろにあるため死角となり、さらに門の向こう側が下るように造られているので大天守に通じると分からなくなっています。


④るの門
石垣に埋め込むようにして造られたるの門は「埋め込み門」という様式になっていて、菱の門を入ってすぐ、三国堀の脇にあります。
正規の通路からはずれた位置にあって、抜け道のようなものですがぱっと見では分からないような仕組みになっています。
見えにくい位置にあるのには訳があって、敵が進入してきた時にあらかじめ配置していた小隊がこの門を使って背後から襲いかかることができるようするためです。
これは姫路城特有の門だそうです。


⑤ぬの門
先にも書きましたが、このぬの門は櫓門の中でも櫓が二重になっている珍しい門です。
姫路城の中で最も鉄壁の守りができる門だったそうなのですが、その理由が扉や柱、冠木すべてが鉄板で覆われていて、櫓が二重になっていることで集中的に頭上からの攻撃が可能だったからなのです。
このような形の櫓門で現存するものは姫路城のぬの門だけだそうで、とっても貴重なものとなっています。


姫路城の城門について色々書いてみましたが、様式もそれぞれに特徴があって視覚効果を利用したりと工夫がされているのがよく分かりますね。
当時の人々のアイデアの凄さに驚きです。
姫路城は敵に攻められることがあまりなかったお城ですが、だからこそ今の時代に私達がこうしてお城の色々な構造を目で見ることができるのですね。

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